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2010年9月30日 (木)

詩 蜆(しじみ)  現代詩人会東日本ゼミナールin岩手ー(5)-

Dscf3083 (詩「蜆」を朗読する盛岡市の詩人 かしわばらくみこさん=北上市の日本現代詩歌文学館)

 「日本現代詩人会東日本ゼミナールin岩手」では、地元・岩手の詩人たちも朗読した。なかでも「台所の詩人」という盛岡市のかしわばらくみこさんの詩「蜆(しじみ)」が、なんとなくシュールで面白かった。

 「砂時計」とは、岩手県詩人クラブの会員同士で、詩誌「堅香子(かたかご)」の同人でもある。かしわばらさんは、昨年11月に詩集「夜のバス」を発刊。それを日光の黒川に贈ってもらったことで覚えていた。

 だだし、直に知り合うのは、この日が初めて。夜の懇親会で「黒川さんですか。いつも書く詩から1940年代か1950年代の人かと思っていたのですが~」と言われてしまった?。半可通だが、「砂時計」の詩は硬いものが多かったため、かなり年配の人かと、思われていたのだろう。 

Dscf3819 (詩「蜆」などが収められている、かしわばらさんの詩集「夜のバス」・09年11月・厨書房)

 かしわばらさんの場合、御自身が「台所詩人」と、会場でだったか、言っていた。確かに、柔らかな家庭的な人柄だが、一方で芯もかなりありそうな女性だという印象がある。そうした人柄と詩がほとんど一体化しているような詩だ。

 詩集「夜のバス」では実際、「風呂」「落ち葉」、あるいは「爪」「果実酒」とか、「蛇口の水音」「かぼちゃ」など、確かに台所や家の周辺から着想した詩が目立つ。 

 だが、「広すぎる家で川をおもっている/岸をへだてる深い川/さあ、舟を出そう/漕いでみようか/過ぎた日々の勢いで」といった「天の川」」などの抒情的な詩もある。ただの台所詩人ではないところが、やはり「詩人」なのだと思う。

Dscf3097 (日本現代詩歌文学館の会場では岩手県の俳人たちの「古町界隈吟行会」もあった)

 詩 蜆

           かしわばらくみこ

ステンレスのお盆を

汽水湖に見立て

津軽から来た蜆を並べる

静かにはなれると

やがて、うっすら口を開け

砂とも泥ともつかぬ粘着物質を吐く

心なし移動しながら

   夜、流水で転がし

   赤ん坊をあやす手つきで

   寝床に戻す

     おいしくなってね。

     おやすみなさい。

   と、キッチンの灯りを消す

翌朝、食卓は水しぶき

季節は満開の桜

市井は昼も宵もお花見の只中

蜆はふるさと十三湖の春をいだき

管をだらり伸ばして

お盆の縁に固まっている

   火にかける直前、数分冷蔵庫にしまうか

   すこし手荒に洗ってあげると

   危険を感じて旨味をだすのね。

料理家先生のふくよかな口もとをおもいだす

ごしごし洗う

蜆が目覚める

   つややかに磨かれた蜆を鍋に入れ

   水をそそぎ、火を点ける

   ひとつぶ、ひとつぶ

   張りつめた面持ちの蜆が

   鍋の底からわたしを見ている

   薄花色の帯を滲ませながら

(「東日本ゼミナールin岩手ー(6)ー」に続く)

          

   

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