無料ブログはココログ

ブログランキング


  • 人気ブログランキングへ

« 人気の食事処「けやき」が再開  歓迎・値段「630円」そのまま | トップページ | さぁ!チェンソーで薪づくり 冬本番に向け汗だくだくで  »

2010年9月11日 (土)

潔く凛とした詩人の死生観  訪れたい「茨木のり子初回顧展」 

Dscf2574 (初版は1977年3月。茨木のり子の詩集『自分の感受性くらい』・2007年12月第8刷・花神社)

 連想ゲームのように詩人・茨木のり子さんを思い出した9日付の朝日新聞夕刊の「人生の贈り物」(ノンフィクション作家・後藤正治さん)からだ。それによると、後藤さんは8月から大学学長を務める一方、「作家稼業」では、茨木のり子さんの評伝『清冽』の出版を進めているという。

 詩「わたしが一番きれいだったとき」で知られる茨木さんだが、その生き方は垣間見るほどしか知らない。<評伝ならぜひ読みたい>。そう思っていたら、確か、回顧展をやっているのではないか。それを思い出し、スクラップ資料をとりだした。

 「生死のあわいへの視線貫く 茨木のり子 初の回顧展」。すぐにこんな見出しの8月20日付朝日新聞夕刊3版「文化面」が見つかった(気になる新聞記事などは、スクラップしておくのは役に立つ 「砂時計」はたまにするだけだが~)。

 白石明彦記者の記事によると、「現代詩の長女」とよばれる茨木のり子(1926~2006)の初の回顧展が群馬県高崎市の「県立土屋文明記念文学館で開かれている。それも9月20日まで。あと10日間だ。

  「潔く凛とした死生観は心に残る」。こう書き始める記事は伝える。茨木の死から4カ月。自宅の書斎で、夫への挽歌が収められていた「Yの箱」が見つかる。挽歌40編の詩稿と目次、草稿ノート。詩稿には「自分の感受性くらい」という詩句に代表されるような、読者を鼓舞する作品世界とは隔絶した、夫と二人だけの濃密な空間が秘められているという。

Dscf2578 (茨木のり子の初の回顧展開催を伝える朝日新聞8月20日付夕刊3版「文化面)

  今回、同館学芸係長と茨木さんのおいが発掘した貴重な資料も多いという。1953年に詩誌「櫂」を一緒に創刊したことで知られる詩人・川崎洋への手紙で自らの詩作の姿勢をこう語っていた。

 「現代詩をみた場合、あまりにも日本語の扱ひが粗雑で詩語に昇華されておらず、且つチンプンカンなものが多いのでそれへのアンチとして私なりの努力を続けてきました」

 砂時計の「詩人」黒川純にしても、現代詩は難解な用語を使い、何を言いたいのか、何を感じているのか、チンプンカンなものが目立つ。そう思ってきた。それだけに茨木の云い方にうなづくものがある。

 同時に茨木には「読者を鼓舞す作品世界」だけでなく、もっと、しなやかな、あるいはたおやかな詩や死生観などを示した、いわば哲学的な詩があるのだろうと思っていた。詩からくる人柄のイメージがそうだからだ。

 そんな魅力ある茨木のり子さんの回顧展。なんとか、終わる20日までに同館を訪れてみたい。もう秋の足音が聞える霧降高原のベランダで、そう思ったことだった(高崎周辺には「砂時計」も加わる同人誌『序説』の仲間が何人かいるから、「飲み会」になってしまうかも~)。

 

自分の感受性くらい 茨木のり子


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ



第70回企画展「茨木のり子展」 ~わたしが一番きれいだったとき~

平成22年7月17日(土) ~ 9月20日(月・祝)


1期  間  平成22年7月17日(土)~9月20日(月・祝)
         ※毎週火曜日は休館(ただし、8月17日(火)は開館)

2開館時間  午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

3観 覧 料  一般400円(320円)/大学・高校生200円(160円)
         中学生以下、身体障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料
         ( )内は20名以上の団体割引料金

4展示内容
 茨木のり子(1926~2006)は19歳で敗戦を迎え、戦時下に青春を送った者の痛みを胸に、詩を書き始めました。昭和28年5月、川崎洋とともに詩誌「櫂」を創刊、強くしなやかに生きることをうたった詩は多くの人々から支持され、現代詩の長女とも称されました。
 50歳からは韓国語を学び、瑞々しい言葉で韓国現代詩を翻訳、高崎にあったクラシック喫茶「あすなろ」の詩人、崔華國とも親交を結びました。
 本展では、原稿・日記などの自筆類や詩人たちとの往復書簡を中心に、初公開の資料を数多く展示、残された自作朗読の声も紹介します。あわせて、処女作「貝の子プチキュー」の美しい絵本原画も展示、様々な角度から詩人の魅力に迫ります。
 茨木のり子が紡いだ言の葉に逢いにお出かけください

« 人気の食事処「けやき」が再開  歓迎・値段「630円」そのまま | トップページ | さぁ!チェンソーで薪づくり 冬本番に向け汗だくだくで  »

歌・唄・詩」カテゴリの記事

コメント

久しぶりにおじゃまします。

茨木のり子さん大好きです。
そして、「自分の感受性くらい」は一番好きな詩です。
読むと心が引き締まる気がします。
久しぶりに家にある詩集を読んでみようと思いました

近くに住んでいたら、回顧展観に行きたかったです

きゃべつさま
きゃべつさん、お久しぶりですね。
「回顧展」に私も行きたかったのですが、
岩手で現代詩人会の集まりがあり、そちらへ。
ブログでその様子を近くアップします。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 人気の食事処「けやき」が再開  歓迎・値段「630円」そのまま | トップページ | さぁ!チェンソーで薪づくり 冬本番に向け汗だくだくで  »

最近のコメント

2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30