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2010年9月28日 (火)

詩 風のかたまりの夜  現代詩人会東日本ゼミナールin岩手ー(3)-

Dscf3099 (「北上詩の会」の群読「長沢剣舞」=18日、岩手県北上市の「日本現代詩歌文学館」)

 「ざふざふと樹木をゆすり」。このフレーズが何回かでてくる。「現代詩人会東日本ゼミナールin岩手」。会場で朗読された詩人たちの詩の中で、いくつか、印象的な詩句があったが、福島県の詩人 若松丈太郎さんの「風のかたまりの夜」は、その典型だった。

 若松さんと会うのは初めてだったか、初めてという気がしない。というのも、以前、季刊詩誌「新現代詩」で一緒の同人だったことや、若松さんの詩集「峠のむこうと峠のこちら」などを贈っていただいたことがあるからだ。

 詩集「夜の森」で福島県文学賞などを受賞したとある。硬派と思えるふだんの詩そのものの印象から、<若松さんはいかつい長老?のような人だろう>。そう思っていた。ところが、実際の若松さんは、やや細身で、優しい表情が似会う人だった。

Dscf3060 (「風のかたまりの夜」を朗読した福島県の詩人 若松丈太郎さん)

 その18日夜の懇親会で、若松さんのテーブルを探し、「詩集の御礼も差し上げなくて、失礼しました」と、恐縮しつつ「砂時計」の名刺を差し出した。若松さんは「黒川さん あなたでしたか」。

 「若松さんは、詩の印象と人柄の雰囲気がかなり違うように思えますね」。私がこう話すと、若松さんは「会ってみないと、人はわからないものですよ」と、にこやかに応じた。

 紹介する「風のかたまりの夜」は、「遠野物語」に出てくる説話「サムトの婆」を下敷きにしたものだ。詩の最終部に「人はどうして どこに姿を隠すのか」というフレーズがある。この前後にこの詩のなんともいえない考え?が、浮かび上がる。そのように感じられる余韻が残る詩だと思う。

Dscf3176 (会場となった岩手県北上市の「日本現代詩歌文学館」の正面玄関壁面)

詩 風のかたまりの夜

                  若松丈太郎

ざふざふと樹木をゆすり

夜空を風のかたまりがはねてゆく

家いえでは身内がいろりに集まり

風のはねる音に耳をすましている

ほた火のはねる音にびくっとする

   こんな夜を

   サムトのばばあが帰って来そうな夜と

   遠野在の者は言う

   梨の木の下に草履を脱ぎ

   消えて三十年

   忘れられかけたころ

   ざふざふと樹木をゆすり

   闇のなかを風のかたまりがはねてゆく

   今夜のようにみんないろりに集まり

   黙りこくってほた火を見つめていた夜

勝手の戸をがらり開け

風のかたまりといっしょに

女は帰ってきた

見まちがうほど老いさらばえていたという

いろりに手をかざし

しばらく身内と話し

<また行く>と言ったなり

勝手口から出て行ったという

   風のかたまりが吹き込んで

   みんなの肌をざわっとさせる

サムトの女は

どうして どこへ

行ったのか

どこに どのように

いたのか

   ある日 ふと

   人が姿を隠すことがある

   人はどうして姿を隠すのか

   理由もなしにということはあるまいに

   人はどこに姿を隠すのか

   われらの知らない異界があるというのか

   ざふざふと樹木をゆすり

   幻のなかを風のかたまりがはねてゆく

(「東日本ゼミナールin岩手ー(4)-」に続く)

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コメント

黒川 純 様   昨秋の日本現代詩人会東日本ゼミナールin岩手についてのブログで、 わたしの朗読についてお書きなさっているのを見つけました。なつかしく拝見しました。
 ありがとうございます。ただ、拙作をご紹介いただいているなかに誤植がありました。   3カ月以上もまえのブログなので、気にすることもないとは思いましたが、念のため、該  当個所をお伝えしておきます。
   風のかたまり夜(5カ所) → 風のかたまりの夜
   ほたる火のはねる音にびくっとする → ほた火のはねる音にびくっとする
   人が姿を隠すときがある → 人が姿を隠すことがある
 以上です。もしかして、当日の資料に誤りがあったのかも知れません。
 いっそうのご活躍と、ご健筆を。                        若松丈太郎

 

若松丈太郎さま
失礼しました。直しの指摘のうち、「風のかたまりの夜」については、会場資料では「風のかたまり夜」。私もなにかおかしいな?とは思いましたが、資料通りにしていました。ご指摘のように5カ所あり、いずれも直しました。ほかの2点ば私が資料を引き移す際にうかつにも、間違えてしまったようです。申し訳ありません。恐縮しております。同時にこの機会に新年のあいさつもさせていただきます。本年もよろしくお願いいたします。機会がありましたら、またお会いできればと思います。黒川純。

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