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2010年9月23日 (木)

詩 鎌のゆくえ  日本現代詩人会東日本ゼミナールin岩手ー(1)-

Dscf3110_2 (「日本現代詩人会 東日本ゼミナールin岩手」で詩歌を朗読した詩人たち=18日、岩手県北上市の日本現代詩歌文学館)

 日本現代詩人会の東日本ゼミナールin岩手が18日、北上市であり、「砂時計」も参加した。実行委員長は私の詩の「水先案内人」である詩人 斎藤彰吾さん(元岩手県詩人クラブ会長)。その斎藤さんや地元の詩人で「千三忌」の墓守、小原麗子さんや「北上詩の会」の詩人たちの「義理と人情」もあった?。

 さらに詩集を寄贈していただいたり、手紙やメールをやりとりしたりしているが、顔を合わせたことがない各地の詩人たちに会う、いい機会だと思ったからだ(岩手県詩人クラブ会長の吉野重雄さんやブログの「お友達リスト」の関西の詩人 永井ますみさんなど。永井さんは緊急な用事があり、欠席だったが~)。

 日光から宇都宮の東北自動車道へ。郡山、仙台、一関などを経て北上へ。行程約400㌔。5時間かけて、ようやく北上市に着いたのはもう午後3時。すでに講演「井上靖と平泉」(北川れい)、「啄木と賢治について」(八木幹夫)は終わり、途中の休憩に入ったところだった。 。

Dscf3064 (詩 「鎌のゆくえ」を朗読した山形県の詩人 木村迪夫さん)

 それでも「詩歌の朗読」には会場に入ることができた。詩の案内は「砂時計」も会員になっている岩手県詩人クラブの事務局次長の森三紗さんとある(夜の懇親会で初めて知り合った)。千葉県の朝倉宏哉さん(朝倉さんも岩手県詩人クラブの会員だが、懇親会で初顔合わせ)の「深夜の酒宴」を一番手に、次々と登壇する。

 その一人、山形県の木村迪夫(きむら・みちお)さんは「鎌のゆくえ」を朗読した。ふつうに語りかける朗読だが、その言葉の重みや切れ味が独特だ。いわゆる「詩壇」の詩とは異質な世界が広がる。

 聞いていてそう感じたが、配られた冊子のプロフィールを読むと、「詩信・村の幻へ」で日本農民文学賞を受賞。さらに晩翠賞、丸山薫賞、現代詩人賞などを受賞している。「やはりそうか」。そう思いながら、聞き耳をたてた。

 朗読を始める前に木村さんは「恋愛詩も書いたらどうかと言われているし、恋愛はたくさんしている。だが、わたしは農民の詩しか書けない」といったようなことを真顔で語り、会場をわかせた。「もう定年の年だが、死ぬまで農業をやっていくことになる」とも。

詩 鎌のゆくえ

おれたちは鎌をもっていた

一人ひとり村のだれもが

翔ぶがごとく鋭利な細身の鎌を

おれも女房も

おふくろも

累代うけ継がれ傷ついた栄光の鎌を

鎌は刈りの季節をすぎると

納屋の板戸の隙間にさしこまれ

冬をむかえた

ふたたびの季節のために

刻まれた刃の深みに土肌をのこしたまま

沈黙こそ祈りの象徴とばかりに

気概の刃先をしのばせ

Dscf3172 (「日本現代詩人会 東日本ゼミナール」の会場となった岩手県北上市の現代詩歌文学館)

   風景が色めき

   草ぐさの葉うらに風が寄せても

   さらなる沈黙からおのれの身を翻すこともなく

   鎌は耐えた

   乾いた土と血と土の匂いをひそめたまま

   一転雨季となり

   おびただしい蝉のなきがらが地上に落ちても

   黄金色の波の間にうって出る

   その日だけを思いめぐらした

一条の稲の株の

幾百条の株と幾千条の株の

幾万条の株と茎碑の

靭くしたたかなせめぎあい

その情景こそわが胸のおくの世界と

板戸のうらから鎌は

眺望をくり返す

いまこそ俺の鎌を

女房の鎌を

若き日の夢にひたる痴呆のはてのおふくろの手にも磨ぎすまされれた鎌を

ギザギザの刃に映る

この屋の刈りとられた歴史のかがやきを

   だが

   おれもおまえも

   陽ののぼりとともにうって出るには

   この慙愧の時間を遡らねばならない

   そして思い出の時代へと帰らねばならない

   鎌よ

   失われた楽園そのままに

   おもえもまた

   黄金色の波の間に間にうって出る日を奪われてしまったのだ

   気がつかぬのか

   擦りかえられてしまった栄光の記憶の悲しみを

   手にとる刃の傷と痛みのなき声を

ひたひたと

巨大な造景だけが

いまは世紀の風となって迫ってくる

(「東日本ゼミナールin岩手-(2)-」に続く)

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