無料ブログはココログ

ブログランキング


  • 人気ブログランキングへ

« 詩 感傷主義者 黒川純『砂時計主義』から | トップページ | 流れゆく時の刻み 「蓄音機」で漆の砂時計などの作品展 »

2010年10月14日 (木)

イキテルヤツハミナタマゴ  茨木のり子詩集からー(1)-

Dscf4157 (詩 「詩人の卵」も収められている現代詩文庫『茨木のり子詩集』・思潮社・初版は1969年3月)

 <そうそう、そういうことだよね>。思わず、その詩に向かって言いたくなるのが、茨木のり子の詩「詩人の卵」だ。なかでも、結びの「誰も知っちゃいないのだ/どれがほんとに孵るのか/水の流れも知らないのだ」には同感する。

 もともとは現代詩文庫『茨木のり子詩集』にある未刊詩篇の「詩論に代えて 詩三つ」のうちの一つだ(残りの二つは「言いたくない言葉」と「日本語」)。

 でも、最後の最後で、「イキテルヤツハミナタマゴ」はすごいというか、発想の奥が深い。孵るためにはりきれと、励ましながら、なかなか大人にはなれないぞ(生きているうちは絶対の完成形はないのだぞ)、そう釘をさす。

 この詩を読んでいたら、米国人詩人 アーサー・ビナードさんが激賞し、私も好きなプロレタリア詩人 小熊秀雄(北海道出身 全国の詩人がめざす「小熊秀雄賞」で知られる)の詩「気取り屋の詩人に」を思い出した。

 乱作詩人だと罵る寡作の詩人に対し、小熊は「僕は食事中でも詩を書く(略)僕たちは働く詩人だ」とやりかえす。最後には、皮肉たっぷりの詩句を用意している。「砂時計」はその結びが、ときたま頭をよぎることがある。

 「君はー男のくせに/女形のように容子ぶって/原稿紙にむかう/月経(つきもの)でも/あったように/二十八日目に/一篇おつくりになる」

詩 詩人の卵

        茨木のり子

魚が あんなにびっしり

喘ぎ喘ぎ卵を抱えているのは

孵る子が乏しいため

孵っても生き抜く確率がすくないため

下手な鉄砲も数打ちゃ当る

詩人の卵が昔より

びっしり増えてきたのもさ

現実に食われる詩人が多いため

はりきれ 卵!

誰も知っちゃいないのだ

どれがほんとに孵るのか

水の流れも知らないのだ

      イキテルヤツハミナタマゴ

« 詩 感傷主義者 黒川純『砂時計主義』から | トップページ | 流れゆく時の刻み 「蓄音機」で漆の砂時計などの作品展 »

歌・唄・詩」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰です
どうでも良い話なんですが
明治の館のギャラリー「蓄音機」で漆の砂時計展をやっているそうですよ
如何ですか?
どうでも良い話ですみません。

oyaziさま
「砂時計」展はきょうの下野新聞で知りました。
あす15日でも行こうと思っていたところです。
「大事な話」ですよ。ありがとうございました。

お早うございます
下野新聞も購読していたのですか?
知りませんでした(W)
覚えておきます。

oyaziさま
世の中を知るには中央紙(できれば朝日新聞)と地元紙は
必需品。中央紙はできれば複数を(生活費に余裕があれば
ですが~そんな余裕のある人がどれくらい、いるのかな)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イキテルヤツハミナタマゴ  茨木のり子詩集からー(1)-:

« 詩 感傷主義者 黒川純『砂時計主義』から | トップページ | 流れゆく時の刻み 「蓄音機」で漆の砂時計などの作品展 »

2022年4月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30