全国でも珍しい天然氷の切り出しへ 「四代目徳次郎」の今冬初は13、14日
(「四代目徳次郎」の天然氷の切り出し作業=日光市御幸町 写真は2年前の2009年1月。砂時計も2010年の切り出し作業に少しだけ参加したが、一度も写真を撮っていなかったことに気づいた)
ついに今年も冬本番のその季節になったか!。という感じだ。というのも、全国でも数少ない天然氷の生産が今も行われている日光市の生産者のひとつ、「四代目徳次郎」が13(木)、14日(金)に切り出しを行うからだ。
冬将軍が来襲し、本格的な冷え込みが続くと、旧日光市の市街地がすぐそばにある標高約570㍍の森林のわきに、清い沢水でつくられた池に氷が張りだす。順調にいくと、一日に1センチずつ成長し、約2週間で切り出すタイミングが訪れるという。
地球温暖化が問題になっていなかった昔は、ひと冬に3回は切り出せたという。だが、最近は1月と2月のせいぜい2回とか。日光市の天然氷の生産者は、ほかに「松月氷室」「三ツ星氷室」があるが、「四代目徳次郎」が切り出すのは今回が今冬初。
(池からひきあげた天然氷は竹のレールを滑らせ近くの氷室に送り込む=これも2009年1月)
徳次郎の池は上の池と下の池のふたつ。いずれも一本約40キロの氷が1000枚づつ切り出せる(計2000枚)。一日にひとつの池、二日でふたつの池。1000枚をていねいに区切ってから、切り出し機?で慎重に切断。それを一枚づつ、手繰り寄せ、引っ張りあげる。竹のレールに乗せて、ツーと滑らし、そばの氷室へ運び入れる。
氷室では力と技がある若者らが待機。タイミングを合わせて、滑ってきた天然氷を受け入れる。なにしろ重量があり、元気者でないと、氷室作業はできない(砂時計にはできない~)。それを整然と積み上げていく。溶けるのを防ぐため、おがくずを敷く(それでも夏までには何割かは溶けてしまうという)。
切り出し作業は冬まっただ中の屋外。もともと、天然氷が育つのに良い立地でもあり、もともと肌寒い場所だ。防寒具をきっちり決めていかないと、すぐに根をあげてしまうことに。ただし、氷室に隣接して薪ストーブが燃え盛る「番小屋」があり、ときとどき、身体を温めながらの作業になる(作業終了後、この番小屋の薪ストーブを囲みながら、作業仲間で一杯やるのが、楽しみ。今冬はぜひ一杯やりたい~)
(竹のレールを滑り終えた氷は氷室へ。ひとつ約40キロあり、この作業は力仕事になる=これも2009年1月)
切り出し作業は切り出し機?は別にして、ほとんど手作業、それも連携作業だ。このため、この日だけは、それなりの人手がいる。そのため、ふだんは、それこそさまざまな職業に就いている人たちが駈けつけ、作業にあたっている。
切り出し作業は「労働」ではあるが、見方を少しずらすと、「労働」というより、「遊戯」にかなり近いかもしれない。自然の恵みを取り出す現場に立ち会うことに、ある種の喜びさえも。(念のためですが~マゾが好きといった種類の快楽ではありません)。
私が「天上の地引網」と呼んでいる、毎年、初秋に中禅寺湖で行われるヒメマスの地引網もそうだが(ピチピチと大漁の場面に立ち会うときは、なんともいえない~)、この天然氷の切り出し作業にしても、見学でも参加でも、いずれも面白いはずだ。
日光に相次いでオープンしているゲストハウスを訪れている外国人を中心にしたバックパッカーはもちろん、この日、日光を訪れる観光客もなんらかの形でかかわれたら、日光の別の顔になるのではないかと~(天然氷の切り出し作業に関してはこちらのブログでも)
« その名も「仁右衛門」 日光の街中に品のある喫茶兼画廊オープン | トップページ | 今日も昨日も雪の空 霧降高原は冬本番の白い世界 »
「考えるヒント」カテゴリの記事
- がんとの付き合い、すでに14年 現役記者が連載「患者を生きる」をスタート(2024.07.09)
- 巨大な壊れた観覧車で装飾されている警察署 「理不尽なSF」の世界に誘う諸星大二郎(2024.02.21)
- その結果はどこへ行き着いたか・・・ 社説余摘「指から漏れる・・・」(2015.04.24)
- 特別高等警察は怖いね~ 開戦から2日間で683人も(2014.12.10)
- 今市しっくりこない「『貧乏』のすすめ」 「欲望」のとらえ方に違和感がー (2014.08.03)
コメント
« その名も「仁右衛門」 日光の街中に品のある喫茶兼画廊オープン | トップページ | 今日も昨日も雪の空 霧降高原は冬本番の白い世界 »
こんにちは 初めてコメントさせていただきます
「天然氷」でいろいろ見ておりましたらこの記事に着きました
記事中の名前を出していただいた松月氷室、社長のまささんです
アメブロもやっています( ^ω^ )
>日光市の天然氷の生産者は、ほかに今市地区に「松月氷室」「三ツ星氷室」があるが…
のくだりですが、当店は創業以来日光市山久保地内で氷の生産を続けており紛れもない“日光氷”です。また三ツ星さんも歴史ある天然氷製造元です。あえてここで“日光地区”と“今市地区”と強調する意図が分かりかねます。
加えて次に
>日光地区では唯一の「徳次郎」が…
と、さらに“日光地区では唯一の”と加え、なにか日光と今市ではなにか優劣があるかのような印象を与える表現とも受け取れます(・A・)
また次の記述
>地球温暖化が問題になっていなかった昔は、ひと冬に3回は切り出せたという。だが、最近は1月と2月のせいぜい2回とか。
現在でも3回切り出そうと思えば可能です。ただ昔と違い冷蔵用の氷の需要が皆無になったためどうしても品質の落ちる3回目を苦労して採る必要がないだけです。温暖化とはまったく関係ありませんし、温暖化の影響で氷が凍りにくくなっているという事実はありません。
記事全体としては天然氷の切り出し過程を画像付きできちんと紹介してくださって、ありがたい限りですが、上記の2点、再考していただきますようお願い申し上げます。
投稿: まささん | 2011年6月23日 (木) 19時21分
まささんへ
コメントありがとうございます。日光地区と今市地区に分けたことに違和感があるという指摘ですが、営業するお店が日光と今市にあるというだけです。でも、合併から5年、もう旧日光、旧今市にわけるのは、よくないなと思ってもいました。この「地区」については、いずれも日光に直しておきます。また最近は3回目が難しいということに関連しますが、「昔は12月に一回とれたが、最近は・・」と「三代目」。私は地球温暖化が影響しているとみているのですが。きちんとデータを示すと面白いかもしれません。
投稿: 砂時計 | 2011年6月24日 (金) 12時34分