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2011年3月 2日 (水)

わたしはわたしを武装していかねばならない 藤森重紀の魅力的な詩「冬支度」

Dscn0655 (藤森重紀の魅力的な詩「冬支度」も掲載されている詩誌『堅香子 第8号』)

日々みだりに

悲観もせず楽観もせず

さみしさにも沈潜しない

あるがままの自分を許容し

きびしい冬の

貧しい日ざしにも耐え

夕べにうなだれがちな

そういう自分を励ますために

わたしはわたしを

武装していかねばならない

 詩誌『堅香子』の最新号・8号に掲載されている詩人、藤森重紀さんの詩「冬支度」。その前半の一部だ(全文は38行)。「そういう自分を励ますために/わたしはわたしを/武装していかねばならない」というフレーズが、ぐっと迫ってくる。

 詩誌『堅香子』は岩手県の詩人たちを中心に1年に2回発行している。私も岩手県にゆかりがあり、創刊からの同人。今号では詩「ギリギリッス」を寄稿し、このブログでもアップしている。改めて、その『堅香子』を紹介するのは、きょうは必要があって、この詩誌を熟読したため。

 というのも、毎号とも各同人は掲載された詩のうち自分がいいなと思った同人の詩5篇をハガキで、事務局に伝えているからだ。私も5篇を選んだが、そのなかでも、最も魅力的だったのが(私にとってはだが~)、この「冬支度」だった。

詩 冬支度

       藤森重紀

冬がくる

早々と取りかからねばならない

おやじが母屋の北を

幾束もの藁で囲ったように

おふくろが壁の隙間を

障子紙で重ね貼りしたように

祖母が足袋のかかとを

厚手の生地で補修したように

冬が来る前に

精神を頑丈にせねばならない

日々みだりに

悲観もせず楽観もせず

さみしさにも沈潜しない

あるがままの自分を許容し

きびしい冬の

貧しい日ざしにも耐え

夕べにうなだれがちな

そういう自分を励ますために

わたしはわたしを

武装していかねばならない

     いちはやく

     福寿草のふくらみや

     かたかごや水仙の芽吹きに

     無言で頷いていたのは

     ほかならぬ冬支度の総指揮官

     寡黙な祖父であったのだ

     祖母に先立たれても

     例年ヤトジに手抜かりはなく

     偏西風のそよぎに

     もっとも敏い人物だった

     この祖父に学べ

     気持ちが寒風に萎まぬように

     この祖父のように

     かじかむ孤独とたたかうために

     ぬかりなく

     着々と

     わたしは

     冬支度にかからねばならない

「注 みだりに悲観もせず楽観もせず(広津和郎)

    ヤトジは萱閉じ、または屋敷閉じの意」

 詩としては、もう前半部分でも充分。私はそう感じた。だが、作者の藤森さんは祖父に学び、「かじかむ孤独とたたかうために/ぬかりなく/着々と」と冬支度にかかっていくことを書きたかったのだろう。

 フレーズでは「精神を頑丈にせねばならない」「武装していかねばならない」「冬支度にかからねばならない」と、そうすべきだということを自らに言い聞かせるところが、新鮮だ。というか、きっぱりとした心を感じる。

 もちろん、「きびしい冬」に対する構えをうたっているのだが、実はこの「冬」は、ほかのさまざまな場面でも、使える比喩でもあるだろう。きびしい立場、きびしい心情、きびしい先行き、きびしい現実、きびしい人生・・・でもいい。

 この詩に私が反応したのには、詩自体の魅力もあるが、けさの2日付朝日新聞9面のリビア情勢の記事を読んでいたから。そうも思っている。緊迫の度が増しているリビア。そこでの攻防を伝える記事だ。

 見出しは「『打倒カダフィへ結束』 首都攻略へ 志願兵続々」。リビア東部のベンガジから井上道夫記者が、かなり長い記事を寄せている。記事の結びのところで、志願兵の母親(60)が息子に声をかける。それが、今のリビアを象徴するかのようだったからだ。

 「リビアの未来を切り開くための闘いだ。行ってきなさい」

 

     

 

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コメント

雪国の厳しい冬の風景が頭の中に浮かびました。

折れかけた心を引き締めてくれる詩ですね

リビアの若者の大切な命が守られますように!

きゃべつさま
素敵なコメント、ありがとう。長い詩と最後の言葉もしっかり読んでくれたのですね。
それにしても、ひさしぶりですね。カナダのハルさんとのかかわりがあることだけ
は聞きかじってはいますが。詩については、みなさん、敬遠してしまうのか、意外
とコメントしてくれないので、読み込んでくれて、助かりました~。

50年以上も前、雑誌で知ったそのひとの名をこんなところで見つけました。山桜のうた、みかんの歌、それにもうひとつおばあ様が亡くなられた時の作文に高校1年生だった私はとても惹かれました。以来、藤森重紀さんの名は、私の心にずっと在り続けています。

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