「がんばれ東北はもういい」 大震災詩(4)・黒川純
(津波で折れ曲がった道路標識=4月1日、陸前高田市気仙町 砂時計写す)
「がんばれ東北はもういい」
「がんばれ東北はもういい」/家畜やペットと別れ/農・水産物も市場に出せない/もうじゅうぶん頑張ってきた/これ以上頑張ってと云わないで/朝日新聞の「声」に届けた/福島の主婦のその思いは/「負けるな」/そっと肩を抱いて欲しい/そう 私も走って行って/寄り添って声を掛けよう/「負けないで」
ハート
ハートのマークが印象的だ/きちんと洗い直したまっ白い軍手/中学校の避難所でいただいた/どこから送ってくれたのか/そこまでわからない/だが/その無償の親切さが身に沁みる/そう云うかのように/泥バスターズの私たちに/その日初めて視た笑顔で/両手で掲げて/泥で埋まっていた/石巻のOさん
国民総幸福
文明はここまでできる/文化はここまでしない/欲望と知恵/豊かさと幸せ/かつてこんな叫びがあった/「くたばれGNP」/大震災がそれを思い出させた/ただし/今回は幸せを求める「GNH」(Gross National Happiness=国民総幸福)へ/ヒマラヤの小国・ブータンの叡智だ
鬼剣舞
悪霊退散/悪霊退散/鬼剣舞が桜の花に舞う/激震した大地を蹴り/無念の剣をひらめかせる/東北の鬼たちの祈りの力強さよ/古代がめくれあがった大地に/悲痛の記憶を受け継いだ鬼たちよ/今こそ重々しく軽々と縦横に舞え/怒る大地と海原を鎮めるために/本堂が崩れ落ちた金剛寺で/岩手陸前高田で
その両眼にしかと
何を伝えたかったのか/大震災ボランティア初体験の若者に/思わず口をついて出た/このときこそ被災地へ/手助けしながら、どんなことが起きたのか/その両眼でしかと焼きつけるべきだ/今ではなく いつか きっと/君たちの未来を指南するだろう/私たちの想像外にある/この豊かな緑の大地と青い海原/その包容力と荒々しさで
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