わたしも花吹雪の夜の夢を 大震災詩(7)・黒川純
(花吹雪を散らせている砂時計邸そばのヤマザクラ=15日、日光霧降高原)
花吹雪の夢
わたしもその夢を見よう
あの日から 離れ離れになった
別れた命 愛おしい命 あきらめきれない命
哀しみ 悔しみ 恨みと怒り
無念さ やるせなさ
どこへ持ってゆけばいいのか
声にならない悲しみのありか
桜散る春に 花吹雪の春に
春の夜の夢ではないのか
何度も 何度も
振り返るあなたの
私のそれでもあるのだ
両手を合わせ おがでくれたお年寄り
涙をこらえきれない中高年
「まさか自分の仕事をほっといて」
「そんな遠くから手助けに来る人がいるとは」
涙顔で驚いていた経営者も
納屋の泥出し作業が終り
記念写真に肩を組んでくれた農家も
震災支援の私たちに
だが こういうことなのだ
あなたの事態や不安は
私のそれでもあると
あの日を境に
生徒たちは
生徒たちは?
あの日を境に
生き残ったことで 残された責任から
顔つきが変わってきた 振る舞いもしゃんと
会ってよくわかった
でもね
松の大木が流れてきた高校から
泥だらけの成績表を見つけ出し
パソコンで打ち直して
「ここまで復元したよ!」
生徒たちは?
「見つからない方がよかった」
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