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2011年8月28日 (日)

詩 悪魔の申し子に  原発詩(4)黒川純

200146_4 (ファウストが悪魔メフィストと魂を売る約束をする「ファウスト」=中央公論新社から転載)

悪魔の申し子に
                            黒川純

だれにも視えない臭わない壊せない
黒く透き通った無限そのものの死神は
地獄の扉を蹴破ってやってきたのだから
あれこれ百家争鳴すべき議題ではない
快楽と引き換えに悪魔に魂を売り飛ばした
その契約どおりそっくり返されたのだ
ジパングの分厚い札束に舌舐めずりし
太古から決して踏み込んではならない
のたうつ恐竜の世界も知らぬ存ぜぬで
唯我独尊の無知につけ込まれたのだから

                                              

言葉巧みなメフィストと契約したとき
この国の顔役も密かに震えてはいた
取り返しがつかぬ災いになる予感に脅え
「もしかしたら?」と自問自答しつつ
「悪魔の申し子になるかもしれないー」
思わず側近たちにそうつぶやいたが
金ぴかの腐食した机が列島のあちこちで
脚を逆さまにして狂い踊っていたので
マントルの戒めを想定外に追いやり
裸の王様だったのを忘れていたのだ

                                              

今から2万4千年が過ぎた快晴のある日
石そのものとして仮睡を続ける死について
私たちの私たちに苦い記憶を伝承するため
ムンクの叫びを世界の非常口という非常口に
アルタミラのように刻んでゆかねばならぬ
零の連鎖を呼び起こす契約を破り捨てるには               
戦後の鬼っ子という鬼っ子の眠りを醒まし
悪魔の申し子に永久追放の主文を申し渡せ
視える光と香る風の遠大な用水路の現場の
揺れる涙で磨いた力強いそのツルハシを手に

原発詩(3)「悪魔に売った魂に」を改稿 「砂時計主義」7月22日付掲載(初出詩は詩誌「コールサック70号」8月末発行に掲載予定)

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