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2011年8月25日 (木)

一滴を落としにゆく   『序説18号』大震災詩その3・完(9篇)

一滴を落としにゆく

できることはわずかだ
それも少しの力だ
家中に積もった泥を出す
過酷な泥バスターズを志願した
ボランティアたちが束になっても
一日に一軒
なんとかなるかどうか
それでも
何度でもゆく
燃え盛る森から
たった一羽だけ逃げないで
小さなくちばしから水のしずくを
一滴づつ落としにゆく
アンデス地方先住民の寓話
クリキンディという
ハチドリのように
わたしができることを

                                                   

舞い落ちた心
                                     
古びた映画ポスターが一枚
壊れたビルの壁に舞う
むかし
そんな消えた街を歩いたことも
だが
昨日まであった街が
海の風景に消えている
そんなことってあるものか!
でも
やはり
視える世界はどこまでものっぺらぼう
恐竜が駆け抜けたように
わたしの位置はぐらぐらと揺れ
信じられない心が
土埃に舞い落ちた

                                        

私のそれでもあるのだ
                                      
両手を合わせ
おがんでくれたお年寄り
涙をこらえきれない中高年
「まさか自分の仕事をほっといて」
「そんな遠い日光からわざわざ」
「手助けにくる人がいるとは」
涙顔で驚いていた経営者も
納屋の泥出し作業が終り
記念写真に肩を組んでくれた農家も
震災支援の私たちに
だが
こういうことなのだ
あなたの事態は
私のそれでもあると

                                    

あの日を境に
                                        
生徒たちは
生徒たちは?
あの日を境に
生き残ったことで
残された責任から
顔つきが変わってきた
振る舞いもしゃんと
会ってよくわかった
でもね
松の大木が流れてきた高校から
泥だらけの成績表を見つけ出し
パソコンで打ち直して
「ここまで復元したよ!」
生徒たちは?
「見つからない方がよかった」

                                                    

悔みを返上するのだ

阪神・淡路大震災では
阪神大震災では?
手助けに行きたくても
行きたくても?
とても無理だった
子育て中だったから
その悔みがあるので
「今度は行くんだ」
東京のエッセイストが胸の内を明かした
そうなのだ
私もあのとき
1日25時間でも足らなかった
手を差し伸べられなかった
今度は返上するのだ
その悔みを

                                                       
                                                                                                           
ボランティア新時代                                           

「小学生まで3人います」
えっ!
子供が3人もいるのに
30歳余の若いお母さんが
「なんとか手助けしたいと」
初めての被災者支援へ
宮城県南三陸町歌津伊里前
2泊3日の支援を終え
ずっと駐車させていた
スポーツカータイプの
乗用車のハンドルを握り
「ブルブルン」と勇ましい爆音を響かせ
家族が待つ我が家へ
新しい風が吹いている
ボランティア元年の
「1995・1・17」から
ボランティア新時代の
「2011・3・11」

                                                    

そうは問屋が卸さない
                                      
安心です
まず安心 安心だと
安心ではないか
安心だと思います
安心だと信じてください
一神教までもう少し
安心教の方法は
安心から暗示へ
思った以上の津波だったので
全電源喪失なぞ考えもせず
いずれも想定外だから
想定外だから問題外
問題外なら問題ない
そうは問屋が卸さない

                                                    

                                        
神話の溶融
                                       
とにかく安全ですから
安全神話にしましたから
どっこい
奢る平氏は久しからず
神話を滅ぼすのは神話
安全剃刀だって
安全が外れれば
いやはや やっかい
古代からやってきた津波が
現代の神話を溶融させ
安全が突如として暗然に
あるいは唖然とさせながら
安全圏はどこまでか
いったいぜんたい
全体像はどこまでか

                                                    

ほんとうのことに向き合わねば
      -岩手県陸前高田市からー

陽光が古ぼけた茶褐色で埋まり
海の街がうめき声をあげていた
私の視点は揺ら揺らと定まらず
存在という存在は影絵でもあるという
カナリアの悲痛な声を確かに聞いた

気仙小に積み重なった息絶えた車の山
ぺちゃんこに横たわった金剛寺本堂
プラットホームが引き裂かれた竹駒駅
水平になった気仙川沿いの道路標識
数百㍍先の気仙中までさらわれた民家

高さあるものはすべて憎まれたか
瓦礫の世界がどこまでも果てない
1千年間、だれも見たことがない
海底から生まれた海鳴りがのしかかり
大地に根づいた生活をつぶし去った

天国と地獄を子供たちまで焼き付けた
深い海の巨大なエネルギーは
冷やかに告知するかのようだ
シーラカンスからの世界を支配するのは
電力なしに暮らせないこの大地ではない

春のない寒空に投げ出された人々に
思いやりと勇気ある優しさを投げ出し
震えた悲しみに息詰めている人々に
なんとか再び立ち上がってもらえるよう
希望というやつに両手で触れられるよう

静かに哀しむ人々は私自身の現在であり
私の明日を投影するものだから
私のDNAが救われるためにも
はすに構えた誠実さに命を吹き込み
ほんとうのことに向き合わねばならぬ

初出 
各詩ともツイッター・sunadokeihaでつぶやき、4月5日からブログ「砂時計主義」にも転載。そのうち、「そのけなげな表情を」は下野新聞「しもつけ文芸」(6月6日付)、「凍土から言葉を掘り出せ」も同新聞「しもつけ文芸」(8月22日付)。「ほんとうのことに向き合わねば」は詩誌「コールサック 69号 震災原発特集」(4月30日発行)。「悪霊退散~悪霊退散~」「『負けるな』」「ハート」「国民総幸福」の4篇は詩誌「堅香子 9号」(2011年初夏号)に掲載。

『序説18号』の一斉売り出しは8月いっぱいのみ。あと6日間の限定発売です。定価は1000円+税(一冊計1050円)。事務局が売り上げた場合、1冊に付き、300円を災害支援「チーム日光」に寄付します(大半の発売先がやはり、そのようにするそうです)。期間が迫ってきたので、改めて発売先一覧を下記に。ぜひお買い求めを。という宣伝もさせていただきます。郵送を希望する方は、「序説」事務局の黒川純に問い合わせを。連絡先は以下の通り。〒321・1421 栃木県日光市所野1541の2546 電話0288・25・3348。Eメールqk3y-tmok@asahi-net.or.jp   ツイッターsunadokeiha

◎書店「TSUTAYA 今市店」

◎トンボ玉づくり体験工房「エカト」(今市、「日光珈琲」そば)

◎コーヒー店「日光珈琲」(今市、二宮神社近く)

◎「幾何楽堂」(「チーム日光」代表のログハウス、霧降高原)

◎観光施設、霧降高原「チロリン村」(霧降高原)

◎ホステル「鳴沢ロッヂ」(霧降高原)

◎古本屋「砂時計主義」(「序説」事務局、霧降高原)

◎小さなホテル「森の詩(うた)」(日光明峰高校そば)

◎ゲストハウス「巣み家」(東武日光駅、JR日光駅そば)

◎ゲストハウス「にっこり荘」(世界遺産「神橋」近く)

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