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2011年8月24日 (水)

「詩人は?]  『序説18号』大震災詩その2(13篇)

詩人は?

詩人は 詩人は?
ただ じっと視ているだけでしょう?
視ている
ただ 視ているだけ?
反戦を貫いた反骨の詩人
晩年の金子光晴が
ぽつりと言った
戦後詩の長女と呼ばれた
茨木のり子は
そのときしっくり落ちなかった
後年
ただ じっと視ている人は必要だ
茨木は詩「瞳」にそう書いた
だが
大震災後の詩人は
今や
ただ じっと視ている人
それだけでは済まぬ

もっこりもっこり

津波はもっこりもっこり
スローモーションのよう
高さは20メートルにも思えた
津波がここまで来るとは思っても
納屋の軒下に津波線が残る
相馬の農家
ショベルカーで繰り返し泥をかきだし終え
気丈にそのときを語った
24㌶のうち8㌶だけは残ったが
潮に浸かった16㌶は・・

だれのもの 

青い地球はだれのもの
青い地球はだれのもの
だれのものか
答えを示さず
問いを
ひたすら繰り返す不思議な歌がある
わかっているようでわからない主
輝きであったり
美しさだったり
あるいは宝物だったり
私たちは荒々しく伝えられたのだ
百年先でも払えない授業料で
その主が
海と土と空のものだと

                                        

「ヒナンシテクダサイ!」

「イソイデタカダイヘヒナンシテクダサイ!」

防災無線で発信を続けた
町庁舎を襲った津波で
声の主も行方不明に
その声でどれだけの町民が助かったことか
当人の行方は分からなかった
それが黄金週間に確認された
願いもむなしく
彼女の遺体だと
死者・不明1160人余
南三陸町の
町職員・遠藤未希さん(24)
合掌ー

                                        
問題外                                      

想定外ではなく
問題外を問うべきなのだ
古代がめくれあがった大震災も
かつて起きたことであり
千年に一度の
大津波もそうなのだ
それを想定外で人智を超えたなんて
逃げ言葉にしか聞こえない
想定から外して
問題にしなかった
恣意的に
ご都合よく
問題外にしてきた
それを
問題とすべきなのだ

                                        

消えていた

なんと返答したらいいのだろう
帰ってきたら自宅は
こつ然と消えている
知人に教えられて
それを知ったのは数日後
はるかかなたに見える
中学校近くに乗り上げていた
「えっー、あれが」
「そう」
避難所から毎日訪ねてくる
家があったここを
ほかにやることが考えられない
青空に砂ぼこりが舞う
陸前高田市
                                        

遠い親類                                      

1万500㌔先の親類へ
こちらに避難したいという方には
市民権を与えます
スペイン・人口約3万人弱の
コリアデルリオ市
約400年前、伊達藩の家臣らが
海を渡ってつないだきずな
「慶長遣欧使節が縁」
けさの新聞がそう伝える
市民権を与えますという心強さ
そんな遠い街を
いつか訪ねたい

「負けるな」

「がんばれ東北はもういい」
家畜やペットと別れ
農産物も水産物も
市場に出せない
もうじゅうぶん頑張ってきた
これ以上
頑張ってと云わないで
朝日新聞の「声」に届けた
福島の主婦のその思いは
「負けるな」
そっと肩を抱いて欲しい
そう
私も走って行って
寄り添って声を掛けよう
「負けないで」

                                       
ハート

ハートのマークが
そのマークが印象的だ
きちんと洗い直したまっ白い軍手
中学校の避難所でいただいた
どこから送ってくれたのか
そこまでわからない
だが
その無償の親切さが身に沁みる
そう云うかのように
泥バスターズの私たちに
その日初めてみせた笑顔で
両手で掲げて
泥で埋まっていた
石巻のOさん

                                       
国民総幸福

文明は
ここまでできる
文化は
ここまでしない
欲望と知恵
豊かさと幸せ
かつてこんな叫びがあった
「くたばれGNP」
大震災がそれを思い出させた
ただし
今回は幸せを求める
「GNH」(国民総幸福)へ
ヒラヤの小国
ブータンの叡智だ                                       
                                       

その両眼にしかと

何をそこで
伝えたかったのか
大震災ボランティア初体験の
初々しい若者に
思わず口をついて出た
このときこそ被災地へ
手助けしながら
どんなことが起きたのか
その両眼でしかと焼きつけるべきだ
今ではなく
いつか
きっと
君たちの未来を指南するだろう
私たちの想像外にある
豊かな緑の大地と青い海原の
その包容力と荒々しさが

その哀しみが溶け出すように
                            
哀しみは言葉にならない
その言葉は凍ってしまった
深い暗闇が遠い海から
私たちの鼓動を早打ちし
振り返るときを与えず
瞬時にさらっていったから
声にならないその言葉は
大地に閉じ込められ
凝固したままだろう
だが
いつか
温かな
ほんとうのいいことにめぐりあい
その哀しみが溶け出すように

                                       
言葉そのものが

声に出しているが
話しているが
会話をしているが
ほんとうに心から
語りたい 伝えたい
胸の内をわかってほしい
言いたいのだが
言葉からは出てこない
寒々しい情況が
哀しみを抱えた心情が
これまで視たことがない
拭えない頬に接すれば
はるか遠くからでも
わたしたちは
そのことを
両眼で知ることができる

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