現代によみがえるCCR「雨を見たかい」を 詩人・河津聖恵の世界(13)
(「雨を見たかい」などが録音されているアメリカのロックバンド・CCRの懐かしいLPレコード)
詩人
河津聖恵
Have you ever seen the rain ?
アップテンポのロックの後
あなたの言葉は始まった 〃明るいけれどナパーム弾のうたなんだ〃
地下鉄へ降りる踊り場にあるクラブの超満員の闇の中
一瞬日常は裂かれ キラキラと砕かれた命の雨が降った
(一瞬 私たち会衆を覆う 不可視の傘が消えた)
・・・・・・・・・・・
全部で23行ある詩「詩人」(詩集『神は外せないイヤホンを』の「30篇」のひとつ)は、こんな書き方で始まっている。「Have you・・・・」は、アメリカのロックバンド「CCR」(1968~1972)のヒット曲「雨を見たかい」。
私もそういえば、70年代に「CCR」「シカゴ」「ディープ・パープル」に夢中だった時期があった。そのとき「雨を見たかい」の不思議な歌詞に首をかしげながら、テンポの良さに魅せられた。
いつだったか、歌詞にある「晴れた日に降る雨」がベトナム戦争で米軍が雨あられと落とした「ナパーム弾」のことを皮肉っているということを聞かされた。たまたま、河津さんの「詩人」を読んでいたら、そのことを思い出した。
さらに「晴れた日に降る雨」は「晴れた日に降る放射能」、あるいは「真夜中に音もなく降る放射能」を思わせる詩句のように感じ始めた。70年代初期、今から40年前の歌詞が再びフクシマ原発でよみがえってきたかのようだ。
<それなら、河津さんの詩の講演会・朗読会が始まる際などにCCRを>。そう思ってツイッターでつぶやいたら、その河津さんがさっそく反応してくれた。それが21日の以下のようなやりとりだ。
内容にぴったりです。テンションが落ち着きつつ上がりそうです。RT @sunadokeiha詩人、河津聖恵さんの詩の講演会・朗読会(10月1日午後5時、JR日光駅2階ホワイトルーム)が始まる際に使いたいのがCCRのこの曲だ
ということがあったので、本日は実行委員のゲストハウスでそんな話題を口にしていたら、「それならネットから入手しようではないか」。それを頼み、さらに私はできればCDが欲しいので、さまざまなレコードが手に入るなじみの今市の古レコード屋「NOW」へ(詩の講演会・朗読会のチラシも置いてもらっている~)。
すると、ご主人は「CCRのCDは今はないが、数日中には調達できるので、連絡しますよ」。さらに、友人のホステル「鳴沢ロッヂ」に寄ったところ、「エルネスト」が「CCRならLPレコードで。これらだけは処分しないで、今まで大事に持っていたんだ」。すぐに何度も円盤を回し、二人で耳を傾けたことだった。
(以下は「ネット」の「A Day In The Life ~ 懐かしき1曲」での「雨を見たかい」の解説から)
何となく“晴れた日に降る雨”なんて違和感がありませんか?それもその筈、この曲に出て来る雨、単純に空から降ってくる雨のことでなく“ナパーム弾”を空から降って来る“雨”に喩えてるんですね~泥沼化したベトナム戦争に対しての反戦歌だったわけです。ボクシングの試合でも、「パンチを雨アラレのように浴びせられた」など、数多く“何かが降り注いだり”、“浴びせられたり”する時の喩えで“雨”を使います。この曲は、ベトナム戦争で悲惨で悲劇的な結果が生まれるナパーム弾が使われた事への非難と、もうこれ以上、こういった悲劇が繰り返えされない平和の到来の願いを込めて歌われたわけです・・・その結果、アメリカでは放送禁止になったそうです。
(ただし、作詞したジョン・フォガティは)1997年、オフィシャル・ウェブサイトで…「このことは、ベイエリアでは他の地区よりもよく起こるんだ。陽が照っているのに雨が、虹と雨粒が降ってくることがある。風が吹くと、雨が金門橋を越えてサンフランシスコ湾に飛ばされて来るんだ。『雨を見たかい』はCCRの崩壊についての歌なんだ。"Have you ever seen the rain coming down, sunny day?" の部分は、sunny dayが黄金時代のクリーデンスを示唆している。しかし、ぼくたちに雨が降り掛かって来るのが見えたということを言っているんだ」(Wikipediaより)
(以下は「ウィキペディア」から)
1971年1月に全米8位にまで上り、日本でも大ヒットした、アメリカのロックバンド、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルによって歌われた「雨を見たかい」の曲中には “Have you ever seen the rain?” という歌詞がある。rainにtheがついていることから、「あなたはこれまでに雨を見たことがありますか」ではなく、「あなたはこれまでに例の雨を見たことがありますか」という意味であるから、この場合 the rain はナパーム弾を指し示した暗喩、この曲はベトナム戦争への批判と考えるのが妥当で、実際にアメリカでは放送禁止処分になった。ただし、後世になって、作詞作曲者ジョン・フォガティ自身は、この「例の雨」について、ナパーム弾ではなく、ベイエリアで有名な、陽が照っているのに降る、虹とともに降る雨のことだと述べている。
「震災と原発」に向き合う詩の講演会・朗読会「『ひとりびとりの死者』へ、『ひとりびとりの生者』から」(京都の詩人、河津聖恵の世界) 10月1日(土)午後5時~午後7時、JR日光駅2階ホワイトルーム★前売券・予約 1200円(資料代含む)★当日券・1500円(同)★予約の申し込み・問い合わせはメールまたは携帯で受け付けます メールqk3y-tmok@asahi-net.or.jp 携帯090・5351・3440 (事務局・富岡)。講演会・朗読会終了後、実行委事務局・霧降高原の「砂時計家」で懇親会もあります(参加料2000円)
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