もうこの国は新たな戦場と化しているから 詩人・河津聖恵の世界(16)
(日光で講演する河津聖恵さんの評論「死者にことばをあてがえ」も掲載されている詩誌「詩と思想」10月号)
定期購読者である私のところにきょう、月刊詩誌『詩と思想』10月号(10月1日発行)が届いた。「特集 東日本大震災ー悲しみをこえてー」と「小特集 萩原朔太郎」が組まれている。
その「特集 東日本大震災ー・・・」に10月1日午後5時からJR日光駅2階ホワイトルームで講演と朗読をお願いしている京都の詩人、河津聖恵(かわづ・きよえ)さんが、評論「死者にことばをあてがえー詩人辺見庸のことばが触発するもの」を寄稿している。
(河津さんの評論「死者にことばをあてがえー詩人辺見庸のことばが触発するもの」
当日、午後5時から始まる最初の約1時間の講演は、その「辺見庸の世界」を軸に展開していただく。その骨格というか、背景になるのが、この『詩と思想』10月号の辺見庸論。くしくも、詩誌が発行される10月1日その日での講演会・朗読会となった。
1から5で構成されているその評論の5「新たな戦いの始まり」と、6「瓦礫の中からことばを」をの一部を紹介しよう。1日の講演会・朗読会の当日は本人の肉声でこれらの事柄がさらにリアルに語られることだろう。
(相沢正一郎さんが河津聖恵さんを論じた「現代詩人論」。「詩と思想」10月号)
「しかし戦場の映像の『シミュラークル』(模像、まがいもの)も、もうこれで終わりなのではないか?。あれらの『シミュラークル』さえ私たちから立ち去っていくのではないか?。なぜならば、もうこの国は新たな戦場と化しているから。放射能汚染によって全土が少しずつ、透明な永遠の焦土と化しつつあるから。」( 5 新たな戦いの始まり )
「今、この歴史の果てで詩を書くこととは、二万を超える死者たちのひとりびとりのくちびると肺に、ことばをあてがうための無限の努力である。三・一一以前のままのことばで書かれる詩は、ことばをあてがうそばから瓦礫と化してしまうはずだ。それでもなお、詩人は瓦礫の中からことばを拾い続けなくてはならない。シジフォスの営為を諦めてはならない。」(6 瓦礫の中からことばを )
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コメント
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いやートミーさん、今何処にいるの?河津さんは帰ったのかな?
貴方の情熱は凄い、いいでしょうよ。
また、これからもよろしくです。
投稿: 阿久津 鯨六 | 2011年10月 2日 (日) 18時17分
阿久津さま
返信が遅れました。2日は朝から晩まであそこからそこへと、河津さんを案内。
きょう、3日午前10時過ぎにJR日光駅から帰路へ(といっても、これから弘前かな?の
寺山修司記念館へ向かうと言ってました)。それにしても、詩の講演会・朗読会はなんとか
成功に。閉会あいさつも担当していただき、ありがとうございました。さすが、鯨六さん
のあいさつだと思いました。また、気軽に砂時計邸にお寄りください。御礼も兼ね。
投稿: 砂時計 | 2011年10月 3日 (月) 15時34分