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2011年9月 6日 (火)

今回の状況は人間の「無知の涙」そのもの 『序説第18号』冨岡弘「表現の周辺 3」(下)

Dscn3323_2  (冨岡弘の「表現の周辺 3」などのエッセイや大震災詩が掲載されている『序説第18号』) 

 このことは、カンナオト首相にもいえる。あまりに庶民への接し方が下手で、相手の懐に入り込むことがこんなにも不器用だったのかと唖然としてしまい閉口するばかりである。一昔前の政治家なら、もう一寸ましな接し方を心得ていたのではなかろうか。   住民と上手く会話のできる政治家が少なくなりさみしい限りである。被災住民に詰め寄られると何処かおどおどしてしまい所在のなさ頼りなさを露呈してしまう。多分、絶対こう行動しなければという揺ぎ無い哲学がないのだろう。

 清水社長をネットで検索したところ「コストカッターの異名を取る。東電の制服を中国製に替え、調達費3億円の削減に成功。」と載っていた。そんな3憶円の成功譚は、今回の事故による東電、しいては国の巨額の損失に比べたら全く取るに足らない数字であり、最悪電気料金値上げという国民全体を巻き込みかねない。

 コストカットに心血を注ぐのではなく、安全管理に全力投球すべきではなかったか。今となってはどうしょうもないが。原子力に関わる人は安全に関して能力の限りを尽くして、死ぬほど知恵を絞ってほしい。私の敬愛する天才囲碁棋士藤沢秀行の言葉「強烈な努力」この言葉を東電首脳陣及びカンナオト首相に贈りたい。

 有事の際適切迅速に指導力を発揮できる自信のない者は、最初からトッブの座に就くべきでなく他の有能な人に席を譲るべきである。一般にトップに就くことが人生の成功と考えがちだが、脇役のほうがより輝く人だっているはずで、決して脇役が割の合わないポジションではない。原子力施設を預かり運営するにはかなりの覚悟が必要なはずで、最悪自分の命と刺し違えるくらいの意気込みを肝に命じておくべきである。覚悟なき者は去るべきである。

                 
 物質は正直であり、勿論人間の都合などどうでもよく、いったんある条件が整えば核分裂に至ってしまい、誰にも止められない、ある種神の領域に等しい人間では立ち入ることの出来ない禁断の地が出現してしまう。そんなところに人間は土足で踏み込んでしまっている。物質は正直で人間みたいに迷わない、その正直さはやはり怖い。津波も同じで水にあるパワーが加わればあれほどの破壊力を発揮する。コントロール出来ないものもあることを知るべきである。

 未だ人間はアホであり不甲斐無い存在である。SF映画で核戦争後の世界が描かれたものが結構あるが、今回の事故は映画の中の絵空事ではなく可なりリアルで身近な出来事である。深刻に考えなくてはならない事態に我々は今正に遭遇している。焦りも落胆もあり、今まで人類が努力し積み上げてきたものは何だったのか疑問や無力感に襲われる。SF映画の核戦争による世界の終末よりも、原子力発電による人類破滅のほうがはるかに現実味のあることのように思われる。

 世界中で何基の原発があるのか、可なりの数の原発が稼働しているはずで、それらが操作ミス・自然災害・戦争・テロ攻撃などにさらされる危険性は幾らでもある。戦争で核爆弾を使用しなくとも、普通の爆撃で同時に何基かの原発を狙ったほうがはるかに相手にダメージを与えることが可能なはずで、核保有国でなくても実行可能なことは明らかである。原発は見方を変えれば、野ざらしにされている核兵器であると考えられなくもなく、可なり無防備な状態で存在している。

 原発はかたちを変えた核兵器であるという認識が必要であり、暴走すれば、手もつけられないことになることは、今回の福島原発で国民全体が分ったはずである。あまくはない。臆病になることも時には必要で、核廃絶は原子力発電も含め考えるべきで、世界の人々も今回の事故で矢張り原子力は怖いものであると再認識したはずである。

                  
人間は忘れる動物で、特に悲しみなど忘れられるから何とか生きて行けるのだろうが、しんどいけど、忘れてはいけないこともある。今回の事故後の状況は、人間の「無知の涙」そのものであり、ふと死刑囚永山則夫をおもいだした。

 何事も時間の経過による記憶の風化を免れないが、こうして素人ながらに文章化することは他者に伝えること以上に自分の記憶に刻んでおくべきこととして、今回の事故を位置付けしたかったからだ。人間はまだまだ未熟な存在であることを心に刻め。

(了)

『序説第18号』は7月30日発行((定価1000円+税)。取り扱い 「序説」編集委員会事務局 日光市霧降高原 黒川純 0288・25・3348 qk3y-tmok@asahi-net.or.jp 

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