しかし 世界とともにかなしむーー 詩人・河津聖恵の世界(12)
(「アヴェ・マリア」など「30篇」が収められている河津聖恵詩集『神は外せないイヤホンを』思潮社・08年3月)
アヴェ・マリア
河津聖恵
蝉しぐれに翳る朝に 忘れていたアヴェ・マリアを掛ける
それは真夏にも 今ここで私たちをもてなしてくれる雪だ
肩のあたりで私はひんやりひとみを閉じる
カッチーニ グノー シューベルト
遥かな冬 女友達は闇にひざまずき
この雪ふる音階に心をまかせ ひとりの人のために密やかに祈りつづけた
(私が送ったのはポルトガルのファド)
これらの祈りの曲が教えるのは
かなしみは世界から消えないということ
消えないままに
より深い悲しみ 慈悲によって溶かされていくこと
(慈悲の悲とは「悲しみを抜く」意)
心を空にして
譜からでていくやわらかな音符、雪片
私たちが裏声でしかいいつのれないことを
やすやすと歌い当てるスラヴァのハイ・ヴォイス
音楽の蠟燭は尽き 肩のあたりでひんやりとひとみを開く
かなしみはいっそう深まっている しかし
世界とともにかなしむーーー
そんなこともできるかのように 蝉しぐれは曲の冬を継ぎ はげしく優しい
アヴェ・マリア (羅: Ave Maria) は、ラテン語で直訳すると「こんにちは、マリア」または「おめでとう、マリア」を意味する言葉。転じて、この一文にはじまるキリスト教(特にカトリック教会)の聖母マリアへの祈祷を指す。この祈りは教会によって伝えられるが、典礼行為ではなく、私的な信心業として伝わるものである。
この祈祷のための教会音楽や、祈祷文を歌詞にした音楽作品なども意味し、例えばグレゴリオ聖歌の他、ジョスカン・デ・プレ、ビクトリア、グノー(J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集第1巻》の前奏曲ハ長調を伴奏に借用)やロッシーニのものなど、枚挙にいとまが無い。また、アルカデルトやシューベルトのように、もともと世俗曲でありながら、後世に「アヴェ・マリア」として通用するようになった楽曲も存在する。(「ウイキペディア」から)
(以下はネット上にあった「アヴェ・マリア」の訳詩)
Ave Maria アヴェ・マリア
おめでとう、マリア、恩寵に満ちた方、
主はあなたとともにおられる、
女性のうちで祝福された方、
そしてあなたのお腹の子、イエスも祝福されている。
聖なるマリア、神の御母、
罪人なる我らのために祈りたまえ、
今も、我らの死の時も。アーメン
「震災と原発」に向き合う詩の講演会・朗読会「『ひとりびとりの死者』へ、『ひとりびとりの生者』から」(京都の詩人、河津聖恵の世界) 10月1日(土)午後5時~午後7時、JR日光駅2階ホワイトルーム★前売券・予約 1200円(資料代含む)★当日券・1500円(同)★予約の申し込み・問い合わせはメールまたは携帯で受け付けます メールqk3y-tmok@asahi-net.or.jp 携帯090・5351・3440 (事務局・富岡)。講演会・朗読会終了後、実行委事務局・霧降高原の「砂時計家」で懇親会もあります(参加料2000円)
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コメント
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ご紹介感謝します。
5行目、女達→女友達 です。
よろしくお願いします。
投稿: 河津聖恵 | 2011年9月22日 (木) 00時42分
河津さま
失礼しました。先ほど、「女達」から「女友達」に。
投稿: 砂時計 | 2011年9月22日 (木) 01時12分