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2012年2月 2日 (木)

取り戻せない悔みを取り返したい 鎮魂詩「三陸の海の底で」黒川純

Dscn1231 (大震災から3週間後の岩手県陸前高田市気仙町。津波で道路標識が水平近くに傾いていたー=2011年3月下旬)

鎮魂詩ー三陸の海の底でー

                        黒川純

 
そのとき語っていたこと
語りたかったこと
語ろうとしたこと
語るべきだったこと
もう語るにも語れないでいる
悔みだけが人生だとしても
準備する時間がなさすぎた
わたしのあなた あなたのわたし

どうしたらその声が届くのだろうか
大蛇のような大波に流されて巻きこまれ
引き込まれて落ちながら海原に押し出された
2011年3月11日のそのとき
ひとりびとりの犠牲者にあしたがあったのに
だれも視たことがない大波に引き裂かれ
手も足も
眼も耳も
口さえも縛られた

だから
幻聴のように響いてくるのか
歴史がやってきた一瞬の悔みを伝えて
だれかが そう問いかけるのだ
いや
だれかではない
海底の光と影の境界で漂っているあなたが
わたしやわたしたちに向かって
ざわざわと
そう ざわざわと
古代がめくれあがった冷たい海底から
もう取り戻せない悔みを取り返したい
ほんとうの死者になりきれない

夢の中であなたがそうささやいたから
理不尽な哀しみの海に降りてゆき
涙で視えない瞳をそっと閉じてやり
漂う身体にじっと光の焦点を当ててやろう
眩しい輝きが海底から海面を突き破り
たなびく雲にその姿が乱反射する

もくもくと立ち上るその雲をスクリーンに
生きていればいつか願いがかなったときの
あなたが満面の微笑みで登場する
そんなことを夢想したい
そのとき
あなたは一瞬だけ
瞳いっぱいの涙を
ぽろぽろと溶かすかもしれない
あなたをさらった潮の流れで
今はただキラキラとあくまで蒼く輝く
三陸の海の底で

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想定外の事実生かして三倍長生き祈る。
想定外の教訓を日々外では緊張しよう。
想定外の事故、他人事でないと知ろう。

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