あと3週間で創刊39年号を発刊します 「戦後の鬼っ子たち」の冊子『序説 第20号』
創刊39年目の私たちの同人誌『序説』第20号の校正作業をしている。発刊は6月29日。あと3週間余だ。今回の執筆者は7人。私は「脱原発日月抄」という文章を寄稿してるが、事務局として「編集後記」も。
きょうはその冊子の前宣伝も兼ねて、「編集後記」のみをBLOGへ。表紙は高崎に在住する仲間の美術家、冨岡弘君にいつも担当してもらっている。いずれも抽象画だが、今回はそれも色鮮やかに。いつも以上に印象的な号になりそうだ。
制作はこれまで若いときからの友達が経営している出版社『随想舎』(宇都宮)にお願いしてきたが、今回は仲間というか、準同人でもある「デザイン★ファクトリー ミレニアム」(太田市)の敏腕デザイナー、長島弘幸君に頼んでいる。
(近く発刊予定の『序説 第20号』。その見本段階の表紙の一部)
(以下は私・事務局の「編集後記」。校正段階ー)
「序説」第20号をお届けする。創刊は1974年12月。当時の同人は大学を出たばかりの(あるいは飛び出したー)20代の若者、それも「戦後の鬼っ子」と呼ばれた「怒れる若者たち」だった。12号まで発刊したところで、それぞれが仕事に家庭に世間に忙しくなり、自然と休刊へ。
それから四半世紀が過ぎたところで、親しい仲間があえなく病死してしまった。葬儀に集まった同人たちで「再び序説を」。そのようにそれぞれの胸騒ぎがエネルギーとなり、再出発へ。まもなく第13号を発刊させた。それから毎年、この時期に発刊し、それが8年目。来年の2014年は創刊から40年の節目の年になる。第21号は「40周年記念号」となるだろう。
3年前に定年退官した福澤宗道・足利工大名誉教授も同人の仲間の輪に加わっていただいた。日光や草津での総会(という懇親会)にも快く参加していただき、親しく懇談を重ねることができた。「序説第18号」には定年退官最終講義を、昨年の「序説第19号」では「あとがき」でご自身の膨大な蔵書を開放し、まちづくりに役立てようと取り組んできた「足利建築文庫」の設計図も語ってもらった。
だが、残念ながら、2012年9月に闘病死されてしまった。福澤先生が30代の若き助教授時代はいかにも都会の洗練された建築家といった雰囲気ではあった。それが最近はいつもにこやかに、ときに皮肉も交えながら、同人たちがいつもの論戦の時間になると、その「行司役」みたいな立場になっていた。それがいかにも福澤先生に似会っていたし、同人にとってもとても貴重だった。
今号の同人の寄稿の中にも〈もっとさまざまな話を聴きたかった〉的な文章もある。存命であったなら、今号には「足利建築文庫」の軌跡や運営、あるいは提案などを寄せてくれていただろうと思う。その面でも福澤先生を失ったことは事務局としてほんとうに残念に思う。
そこでこの機会に福澤先生のエピソードをひとつ紹介しておこう。私たちはいわば「70年安保世代」だが、福澤先生は「60年安保世代」。あの6月、「国会突入時」に東大生・樺美智子さんが犠牲になったが、連日のデモの渦に福澤先生も。樺さんの下級生として(確か2級下と言っていたか?)、「彼女の背中を見ながら国会への安保反対デモへ」。そう、しみじみ語ってくれたことがある。そのあとは原発問題も含めて厳しい体制批判も展開されていた。「60年安保」という「歴史」が歴史ではなく、現代史として私の前にリアルに蘇ったかのような感覚を覚えさせた、そのときの対話がそうだった。
来年の創刊40年で私たちも「歴史」になろうとしているが、今回の福島第一原発事故で、「歴史である私たち」もいやおうなく「現代の私たち」に向き合わざるを得なくなっている。それも悪い意味での「世界史的な最先端」で。それらの周辺について、直接的か、間接的か、象徴的か、迂回的か、さまざまな題材で、手法で、発想で示してみせたのが、今回の「序説第20号」だと思っている。 (事務局・黒川純)。

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