彫り刻む回覧板へ 東北の詩誌「堅香子」第13号・黒川純詩作品
詩誌「堅香子」第13号(年2回刊行 2013年6月29日発行)
彫り刻む回覧板へ
黒川 純
刻もうとしている
何度でも繰り返し
この手の先の触れるところ
それを自在に彫り進めたい
甚五郎が今に現れるように
「いいものはいいね!」
「やっぱりカッコイイ」
FACEBOOKでもTWITTERでも
思わず拡散させてしまう
まったく影も形もなさそうで
透かせば形が浮き彫りになる
刻もうとしている
練り直し研ぎ澄まされ
そのものとして在る
その人からあの人へ
赤いバトンを握りしめ
「なんていい感じ!」でも
「不思議大好き!」でもいい
地域通貨を受け渡すように
イヤミのない気分の高まりを
いつの間にか交換している
オブジェの彫刻のように
刻もうとしている
ノミをひとつ振るう度に
この人にもあの人にも
虹の向こう側が見えるように
「なんて美しい」とか
「これってすごいね」でも
その彼方の不可視の美しさ
ラジカルな美容術を学び合おうと
互いの視線をまじまじと交差させ
それを彫り刻みたいのだ
遠い時からの回覧板を
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