「倫理的」を改めて考えて 「自公圧勝」7・21参院選結果について
「さようなら原発!栃木アクション」次号「夏号」会報原稿
2013年7月23日
「自公圧勝」だが、民意はやはり「脱原発」
改めて問われる「人間の根本の倫理」
「6・2さようなら原発集会」
7月21日投開票の参院選は「自公圧勝、衆参過半数 自民一強体制」(朝日新聞23日)という結果に終わりました。しかし、比例区だけでみても、自民は34・68%、公明は14・22%。自公でも48・9%で、過半数にも達しません。「原発なぞいらないが、経済対策で自民党に入れた」」という私の「ともだち」もおり、民意は依然として「脱原発」で変わりはありません。
それでも「原発を成長戦略に」という安倍政権は今後、原発再稼働へと突き進むでしょう。それに対してこれからもきちんと原発社会からの離脱を声を大にして発信していかなくてはならない。改めてそう思っています。
その面でも作家、大江健三郎さんの呼び掛けの大切さがさらに重み増していると思います。「6・2NONUKESDAY」の集会のひとつ、「さよなら原発1000万人アクション」が主催した東京・芝公園23号地での「6・2つながろうフクシマ!さよなら原発集会」。そこの壇上からの呼び掛けです。
そのあいさつは〈さすが、ノーベル賞作家ー、きちんと最も大切な核心を伝えようとしている〉。そう強く思えたのです。もともと私も脱原発の「基本」はそのあいさつの核心部分にあると思っていました。ですから、なおさら共感を増幅させました。大江さんは7500人(主催者発表)で一杯になった会場に向かって、とつとつと、しかし、しっかりと、こう語りました。
「我が国で今、倫理的とかモラルとかという言葉はあまり使われませんが、ドイツは、ドイツの議員たちは次のように倫理的という言葉を定義しています。すなわち、「私たちは次の世代が生き延びることを妨げない、次の世代が生きてゆける環境をなくさない、そのことが今、人間の持ちうる最大の根本の倫理だという」、そのことが彼らの定義であります。
この「私たちは次の世代が生き延びることを妨げない・・・」というフレーズを繰り返した大江さんに会場の参加者から大拍手が沸きました。そのうえで大江さんは「それを実現しようとするのがドイツの議員たちの意思であって、彼らはそれを立法しました。そして今、それは実現に向かっています」と語りました。
ところが、政権党は原発再稼働に向けた動きをさらにう浮き彫りにし、首相自らが「死の商人」となって原発の売り込みに余念がありません。大江さんが壇上で指摘したように、行動の根拠が「政治的、経済的」一辺倒です。
それだけに「倫理的」という言葉について、きちんと向き合うことの大切さを強く訴えたその呼び掛けがいかに大事であるかー、その指摘が共感とともに今も人々に伝わっています。
参院選は確かに残念な結果に終わりましたが、首都・東京では「脱原発」を強く訴えた吉良佳子さん(30歳、共産)と俳優の山本太郎さん(38歳、無所属)が初当選を果たしました。大江さんが強調する「倫理的」なる構えが各地にじわじわと浸透していることの象徴だと思っています。
その意志を内外に示すのが、「さようなら原発栃木アクション」です。今年の11月10日(宇都宮城址公園)はさらに「原発はいらない!」の声を共に大きく高く上げようではありませんか。
(富岡洋一郎)
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