批判のための批判の印象も 『トロツキー』(上下巻、ロバート・サーヴィス)
今市図書館から借り出した『トロツキー』(上巻・下巻、ロバート・サ
ーヴィス、白水社、8400円)をようやく読み終えたー。約700頁を半月間で。トロツキーについてさまざまなえぴそーどをちりばめ、最後は1940年8月20日、メキシコで暗殺されてしまい、妻・ナターリャや家族などのその後を伝える第52章「遺族と遺産」まで。
彼を刺殺した犯人「ジャクソン」は懲役20年を言い渡され、1960年に刑期を終了。「ソ連国家保安委員会(KGB)将官の位を授けられていたとわかったのは、ずっと後になってからだ」という。もっともキューバに移住し、1978年に亡くなったということだ。
詳細に調べられた「伝記」の大冊ではあるが、トロツキー思想の紹介が少なく、権力闘争史が主体の文章が続く。それも全体的にトーンはトロツキー批判に彩られている。というか、事実以上に意地悪く書かれている印象が否めない。確かにクロンシュタットの反乱鎮圧でみせた残虐さなどはその通りなのだろうがー。
本文以上に「ふ~む」と、静かに読み込むしかなかったのは、訳者である山形浩生の「訳者解説」にある以下の文章だ。
「ロシア革命は他のあらゆる歴史事象と同じく、レーニンとそのボルシェヴェキーーそしてトロツキーーーを含む各種の条件が絶妙に組み合わさることで実現した。一回限りの偶然だ。そしてそれがたどった現実の悲しい運命こそは必然だった」
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