「耳を傾ける」(その2) 舩橋淳「フタバから遠く離れて」から
「耳を傾ける」(その2)
「核難民キャンプ」
後日町長にお会いしたときに「双葉町は『核難民キャンプ』として世界中が注目し、心配しているんですよ」と私が申し上げて、「そうなの?」と驚かれることになるのだが、世界からの関心が埼玉のちっぽけな廃校に集まっている、ということに映画作家として興奮を覚えた、ということは確かにある(13頁)
「まるで思いもよらなかった人間性の発見」
私は、大学時代に師事したこともある故・佐藤真監督の考えを思い出していた。日本ドキュメンタリー史上最高の思想書『ドキュメンタリー映画の地平』(上・下)にも詳しく述べられているが、佐藤はドキュメンタリー映画の大原則の一つに、長期取材を挙げた。ニュース性のある事実を掬い取るのではなく、時間と共に、自分の想定を覆しまるで思いもよらなかった人間性を発見してゆくのがドキュメンタリーであり、それを可能とするためには長期にわたる取材が必要と佐藤は説いた。この思想が大きなヒントとなった(16頁)
「元市民活動家」
事故後の対応をあれだけ叩かれていた菅首相だが、5月の訪問時には50以上あるすべての教室をくまなく廻り、町民の話に耳を傾けた。昼頃到着したのだが、終わった頃にはもう辺りは真っ暗だった。町民の話によれば、最初は教室訪問するだけの予定だったそうだが、徐々に延長して全教室になってしまったそうである。「町にはいつ帰れるんですか?」・・・・・・など、町民の直言を聞き、一人一人丁寧に応えてゆくうちに、元市民活動家としてのエンジンがかかったのだろう(22頁)
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