「女ノマド、一人砂漠に生きる」 現代に生きてゆく遊牧民の「素顔」に迫るノンフィクション
題名に魅かれて書店で手にした新書だ。実際に力作だと思う。前半はとくに面白く、すらすらと。だが、読み進めるうちに、しだいに「遊牧民事情」が明らかになってくると、内容もややトーンダウンしてしまう。
理想的な天国はどこにあるわけでもないー。そんな思いを筆者とともに味わうことに。その面では正直なノンフィクションだ。でも、全体的に、やはり女性、それも「結婚適齢期」プラスαの写真ライターならではの視点や問題意識がそこここに。それがひとつの特色だ。
ただ、もう少し、彼ら遊牧民の歴史や、いわゆる「文化人類学的な」視点が加わってもいいかな?ー。そんな思いもある。いずれにしろ、さまざまな遊牧民が登場し、その関係を追ってゆくと、彼らの息遣いまで聞こえてくるようー。そこはそこまでつきあった筆者の力なのだろう。
社会、文化、男女、生活、宗教など、さまざまに違う価値観に生きる彼らだが、基本的には「地球家族」的な思いを抱かされる。つまり、どんな社会にもそれなりの苦労や喜びや悩みがあるのだとー。さらに続編も期待したい一冊だー。
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