「フランス革命のどこに自由や人権の確立が・・・」 渡辺京二さん『近代の呪い』寸評

『逝きし世の面影』などで知られる渡辺京二さんの本が新書に。本屋でたまたま見かけて、すぐにとりかかった。熊本大学大学院などの講義録5話、なかでも「フランス革命再考」と「大仏次郎のふたつの顔」には、いくつかの「なるほどー」というところがいくつも。
例えば、自由、人権、平等を実現したとする「フランス革命神話」があるが、今ではその古典的な革命像が修正されてきており、フランスのジャーナリズムでも大勢だという。しかし、日本では学界止まりであり、一般的にはまだ惰性的に古典的革命像がー。...その状況を述べて、以下、このようにー。
「フランス革命のどこに自由や人権の確立がありましょう。個人の自由と人権がまったく無視されたのがフランス革命の特徴です。それはロベスピエールが権力を握った時期のことばかりではありません・・・」。その後の革命もこの論理を引き継ぐものだと、したうえで・。「それのみならず、フランス革命はジェノサイド、一定の人々を根絶やにする大量虐殺という点でも先駆的なのです」
「先駆的」は、皮肉った言い方ー。それはそれとして、この本の主眼は「近代の呪い」。同書では「民族国家の強化」と「世界の人工化」、このふたつの現象を挙げている。たまたまだが、今回の一連の台風(26,27,28号)や本日の未明の地震などから、「世界の人工化」の杞憂がそのまま二重写しになるかのように。そんな感覚を味わった一日でもあったのですー。
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