下手くそな国家経営者が飛びつくものはー辛口経済学講座『新・通貨戦争』
辛口の落語的世界も交えた経済学講座を受講しているよう。浜矩子さんの「新・通貨戦争」(朝日新書)。この手の世界には、あまりなじみがない私でも、興味深く読み進められる一冊だ。最新刊。第一刷があさっての2013年10月30日付なのだから。
たまたま前日に彼女の「アベノミクスの真相」を読んでいたが、その続編といったおもむきもあるー。「人気エコニミストが『近未来』を大胆に予測する!」と、うたっているが、今後のことというより、ニクソン・ショック(1971年8月15日)など、かっての通貨...戦争の的確な解説が印象深い。
その警告の中には、世界的に有名な作家のエコノミスト顔負けの指摘も。そう、かくあろう、ヘミングウェイ(「武器よさらば」など)-。その辛辣な見方がすごい、というか、「なるほどー」と思わせる。以下の発言だ。
「通貨を膨張させるというやり方は、下手くそな国家経営者が第一番目に飛びつくニセ万能薬だ。二番目が戦争である。この両者は、いずれも、つかのまの繁栄をもたらす。そして、永遠の崩壊につながる。ところが、この両者こそ、政治経済的人気取り人間どもの駆け込み寺である」
これと似たような言い方をかのケインズ先生が言っているのだという。<えっ、どんな?>ー。と、追ってゆくと、なんと、そこにロシア革命を主導したレーニンがでてくるのだった。-これには、ややのけぞったなー。以下がその内容だ。
「資本主義体制を破壊する最良のやり方は、その通貨を減価させることである。このように、レーニンがいったらしい。レーニンは明らかに正しかった。既存の社会基盤を突き崩す方法として、通貨価値を減価させることほど巧妙で確実なものはない。そのプロセスは、秘められた経済力学の全てを破壊的勢力の味方として動員してしまう」
いやはや、レーニンといえば、『帝国主義論』と『国家と革命』(2冊とも「名著」。もっとも、ドイツ革命の主導者・ローザ・ルクセンブルクはスターリンも、レーニンも批判しているがー)だが、<その手の言い回しをしていたのか>と、感心することしきり。まさか、浜矩子さんのこの本で、そんなフレーズがとりあげられるとは・・・
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