惜しい人を亡くした・天野祐吉さん 『広告論講義』は名著だー
惜しい人を亡くした。天野祐吉さん。「隠居学」も面白いが、やはり、本業のこれ、『広告論講義』。明治学院大の講義をまとめたものだそうで、2002年刊行。
なかでも「第五講 ヒトラー ---ナショナリズムを売る」が、さすがにいい。
「20世紀は、世界がそんなナショナリズムの制御に失敗した世紀であり、その結果として、世界のあちこちにさまざまな形のテロリズムを引き起こしてしまった世紀でもあります。なかでも、ヒトラーが1930年代に売ったナショナリズという商品はタチが悪い。20世紀の世界が、なんとか地球上から排他的民族主義をなくしていこうと努力しはじめた時期だけに、タチが悪いんですね。そういう意味で、『ヒトラーの虐殺は、20世紀を特徴づける犯罪だった』と、加藤周一は言っています」
(以下は朝日新聞デジタルから)
広告やテレビ番組の批評で人気を博したコラムニストで、本紙に「CM天気図」を連載した天野祐吉(あまの・ゆうきち)さんが20日午前10時38分、間質性肺炎のため死去した。80歳だった。通夜、葬儀は本人の希望で行わない
広告をジャーナリスティックに論じる雑誌「広告批評」を1979年に創刊、商品の宣伝でしかないと考えられていた広告を、批評の対象として位置づけた。84年に本紙で「私のCMウオッチング」を開始。90年に改題した「CM天気図」は、連載1132回に及ぶ名物コラムとなった。軽妙な語り口で消費社会に鋭く切り込むCM批評は、多くのファンを魅了した。
東京都生まれ。博報堂などを経て創刊した「広告批評」(2009年に休刊)で編集長や発行人を務めた。メディアに対する批評も活発に行い、新聞や雑誌に多数の評論を発表、テレビやラジオ番組でも活躍した。
05年にNHK放送文化賞を受賞。06~07年には放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送番組委員会委員長も務めた。「広告論講義」など多数の著書がある。02年に松山市立子規記念博物館の館長に就任し、現在は名誉館長
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