構造そのものが、構造としてわかる 「希望の資本論」
「資本論」を読んだことがあるか、あるいは、ある時「資本論」と真剣に対峙しようと思ったことがある人間は、左翼か右翼かは関係なく、物事を突き放して見ることができるのです(『希望の資本論』「第2章 一冊の本が世界を変えた」30頁)。
さらに以下の指摘もそれなりに「いいね」と。
「資本論」を読んで、どういう意味があるかと言うと、やはりこの社会の構造の限界がわかる(同、「第6章 私と『資本論』」113頁)
かなりの頁に<なるほど~>という魅力的な箇所があるが、私なら、こんなフレーズがいいかなー。ただし、最初にある「物事を突き放して見ることができる」は、私なら、「物事を遠近法で視ることができる」、二つ目の「この社会の構造の限界がわかる」は、「この社会の構造が、構造そのものとしてわかる」という言い方をするだろう。
資本論は学生時代に岩波9分冊(全三巻)を半年間かけて通して読んでいるが、基本はマルクス自身が執筆した第一巻の「商品論」に一番惹かれた。そこからローザ・ルクセンブルクの『経済論』(岩波文庫だったかーこれも買いそろえないと)を読んで、「ストン」と納得した記憶がある。
そんな「資本論」がピケティ教授の「21世紀の資本」から、改めて脚光を浴びている。その背景や論理を今ときめくお二人が対談しているのだから・・・、面白くないわけはない。いや、実際、知的関心を超えて、「資本主義」に向き合いたいと思わずにいられない。
同時に「資本論」の展開の前段であるマルクスの『経済学批判』や『経済学・哲学草稿』を、数十年ぶりに読み直そうとも思わされました。こちらの方は、マルクスの人間ぽい「哲学」がたくさん出てくるので、私はこの方が読みやすかったことをよく覚えている。
『希望の資本論』は、「霧降文庫」図書室で貸し出していたところ、きょう3日に戻ってきたのです。「いや、面白いですよ~」と、読書家の前向きな感想があったので、私もさっそく、一気にー。途中で新左翼、民青、協会派などの「展開」もあり、リアルに(笑い)読み終えたのでした。お薦めです。
4月の「霧降文庫」のテーマ企画は、「センス」がキイワード。あした4日に考え、5日から展示するのですが(笑い)、その「厳選100冊」(いずれも非売品、貸出図書本)の中の一冊にしようと思っています
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