またお目にかかる日をたのしみに 「人間の性 三島由紀夫の言葉」
「またお目にかかる日をたのしみに」
新聞の新刊本案内にあったので、本屋さんに寄る機会があったら、買い求めようと思っていた。それがたまたまきょう20日だった。新聞を斜め読みした後、手に取って、少し読み始めると、これがなかなか面白く、すでに半分以上の110頁に。
今年が生誕90周年、死後45年、作家・三島由紀夫の新書『人間の性 三島由紀夫の言葉 至極の名言集』(新潮新書 佐藤秀明編)。発行は・・、めくってみたら、そのきょう11月20日。いかにも新刊本だと思わせるぴかぴかの新書だ。「霧降文庫」の12月は「三島由紀夫特集」をやろうと考えていたので、それも併せて手にしたのだ。
名言集だが、これまで読んだところでは、私にとっては、それほど名言があるとは思えない。ところどころに、それなりに魅せられる文句があるのだが、それを反芻し、「ともだち」に紹介したいほどでもない。だが、「Ⅱ 世間の理」のうちの「人の間に悪意は潜む」の章?にあった以下の文章は、特に「なるほど~」、と思わされた。人と人の距離感、関係性の取り方を、挨拶の微妙な言葉の中で例示しているからだ(と、私の場合ではー)。
(以下は本文から)
「またお目にかかる日をたのしみに」
これは押しつけがましくない、よい結びの文句です。約束を強いない。再会を必ずしも約さない。人生でもう二度と会う日はないかもしれないが、この前会ったときはたのしかった、という気持が言外にあふれている。人生に対して、他人に対して、欲張った望みを持ちすぎない、という、聡明で清潔な人柄が溢れている。腹八分目で、少し物足りないぐらいのところが、人生の最上の美味なのです。「またぜひお目にかかりたいと思います」 という結びは、少し脅迫じみている。「おわりの美学」(「女性自身」昭和41<1966>年2月14日~8月1日)
いつもいつもそれぞれが元気な一日ばかりでもない。その面で、いつか、再見できる、出会えることがあればいいね! そんな柔らかな構え方、それが、「またお目にかかる日をたのしみに」、なのではないか。<またいつか、そんなときがあったときは、前のようににこやかに、なごやかに>。肩の力を抜いたそんな問いかけ方に、無理にその人の心に踏み込んでいかない、思いやることができるその人の魅力的な心性が溢れている(ということを、実際の場面で、私がやれるかどうかは別にしてもー笑いー・・・でも、以上のようなことを知っておくことはいいのではないかと)。
(2015年11月20日、BLOG「懐かしい未来」)
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