つねに早すぎると同時に遅すぎる ジジェク「事件! 哲学とは何か」
久しぶりに手ごわい哲学本に出会ってしまった。新聞の書評に魅かれて手に。最初は柔らかい内容だったが、次第に深く豊かに。ヘーゲル、フランス構造主義、プラトン、デカルトがひょいと登場。かなり哲学的素養がないと、全体を読み込めない。私なども「これは硬いな~」と思いながらも、最後まで。そのうち、以下の箇所は「なるほどねー」と。

(以下は本文の一部です)
もちろん問題は、行為と言うものはつねに早すぎると同時に遅すぎるということだ。一方では条件が整うことなどありえない。緊急性に屈服せざるを得ない。じゅうぶん待つ時間などない。戦略を練り上げる時間はない。行為はそれ自身の諸条件を遡及的に確立するという確信と危険性を覚悟しなければならない。他方では、緊急だという事態そのものが、行為が遅すぎたということを物語っている。もっと早く行動すべきだったのだ。行為はつねに、我々の行為が遅すぎたために生じた状況に対する反応である。要するに、行為にとってちょうどよい時期などないのだ。ちょうどいい時期を待っていたら、その行為は事物の秩序内のひとつの出来事にすぎなくなってしまう(スラヴォイ・ジジェク『事件!哲学とは何か』「支線4-3真理は誤謬から生まれる」122頁~123頁)。
(折々の<状況>その37)
« 霧降高原、早くもl初雪です 26日未明、「冬将軍」へ | トップページ | この時代と三島由紀夫 「霧降文庫」でスタート »
「「霧降文庫」」カテゴリの記事
- 4月29日(金)オープン 「霧降文庫」の今季、カレーサービスも(2022.04.21)
- 「霧降文庫」27、28日が最終週 12月から冬季休業へ(2021.11.25)
- 「序説第27号」発刊 創刊1974年の同人誌(2020.11.14)
- 文明国家であるかどうかの基準 パンデミックを生きる指針(2020.07.30)
- 「給付」をめぐる歴史の答え コロナと日本人(文藝春秋)(2020.07.21)
« 霧降高原、早くもl初雪です 26日未明、「冬将軍」へ | トップページ | この時代と三島由紀夫 「霧降文庫」でスタート »
コメント