もうひとつの「3・11物語」 ドキュメンタリー映画「福島のつぶやき」
ドキュメンタリー映画「福島のつぶやき」、日光市土沢で。「福島の映画」というより、「3・11」の被害が及ぼした「もうひとつの物語」。それぞれの判断、方角、模索、大切にしていくものとは何か?、自分たちが進むべき道とは何か?、音楽とたくさんのコメントから観る人たちにもう一度、生活と人生と未来を問いかける。福島第一原発事故から5年の今だからこそ、足元を直視することの大事さを静かに呼びかける、そんなドキュメンタリー映画だ。上映後、TOKO SHIIKI監督とも作家・音楽家のたくきよしみつさんとも、語り合えました。「行って良かった」、そう思える時間でした。
(この映画について、見事な「解説」を 出演者・作家・作曲家のたくみきよみつさんが書いています)
Threshold: Whispers of Fukushima 『これから映画を御覧になる皆様へ』〜 出演者であり作家/作曲家のたくきよしみつさんからのメッセージ
「フクシマ」の問題はとても複雑かつデリケートで、どんなに言葉を尽くしても実情や問題点を正確に伝えるのは困難です。特に、テレビ番組や映画などの映像 作品は、見る者の好奇心を刺激したり同情や怒りを呼び起こそうという意図の元に編集されるものが多く、私自身、編集で歪曲されるのがいやなので、今では基 本的に取材や出演依頼には応じていません。 「あれ」が起きた当時とは現場の「空気」もずいぶん変わってきました。福島の人たちの口もどんどん重くなっています。怒ってもどうにもならないという諦め や、下手に口にすることで問題を悪化させてしまう、ますます人間関係が分断されてしまうことへの恐れから、どうしても「沈黙は金」になっていきます。
そんな中で、Shiiki監督が完成させたこの映画は、とてもユニークな存在と言えるでしょう。説明を極力省き、淡々と「つぶやき」や「演奏」(!)をつ ないでいくという手法。 もしかするとこれは「フクシマ」の映画ではないのかもしれません。「フクシマ」が舞台とはなっているけれど、テーマは「原発事故」とか「故郷喪失」とか、 そういうことではなく、生きるとはどういうことか、という根源的なものでしょう。 人それぞれに「生きる」意味、生きがい、人生の目標は違います。だから、これが正しい、これは間違いだということは簡単に言えません。「フクシマ」を経験 した今は、そのことを痛感しています。奇しくも、私を含めたメインの出演者全員がその点では同じことを言っていますね。
みなさんも、ぜひ先入観や予備知識を一旦捨てて、この映画を見てみてください。そして、自分の生き様や価値観と重ね合わせて、この地球という星に生まれ、 生きていくことの意味を改めて見つめてみる……そんな時間を持つきっかけにしてもらえたら、この映画は成功だと思います。
たくきよしみつ
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