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2016年3月31日 (木)

『ミツバチの羽音と地球の回転』が今! 電力自由化の重い問い

月刊詩誌「詩と思想」4月号記事 「詩人の眼) (4月1日発行)

『ミツバチの羽音と地球の回転』が今! 「電力自由化」の重い問い

                    黒川純

 「日本にも環境にいい電気はあるだろう?」

「環境認証がついた電気を選べばいいんだ」

「・・・えっ、本当に電気が自由化されていないのかい!」

「そりゃ、変えなきゃだめだ!」

 

 という北欧人とのやりとりからそのドキュメンタリー映画の予告編が始まる。鎌仲ひとみ監督が2010年に制作した『ミツバチの羽音と地球の回転』。原発の建設計画が進められている現地の真向いに位置する瀬戸内海に浮かぶ山口県祝島を中心に、脱原発を国民投票で決めたスウェーデンも「旅する映画」だ。

 この映画の公式ホームページの「もうひとつの選択 立ち上がる未来のイメージ」で、鎌仲監督はこう呼びかける。「社会を変革する、エネルギーをシフトする、その現場で私たちと同じ、一人一人の生身の人間が矛盾と格闘しています。そこに必要なのは、これまでの持続不可能な文明からの転換です。価値がひっくり返る考え方です・・・」。

 この「ミチバチの・・」の映画、全国各地で上映されていた2012年春、私が代表を務めている脱原発社会をめざす市民団体「さよなら原発!日光の会」も日光中央公民館中ホールで自主上映している。関心は高く、午前・午後の2回、合わせて260人以上もの市民でにぎわった。観客の一人で、たまたま日光に帰省していた『週刊 金曜日』の記者は「えっ!日光で、このようなドキュメンタリー映画に足を運ぶ市民がこんなに大勢もいるなんて!」と、驚くほど。

 

 

映画では「本当に電気が自由化されていないのかい!」と言われていたが、この日本でもようやく「電力自由化」がやってくる。4月1日から電力の販売が全面的に自由化される。これまで大企業のような大口需要家だけではなく、東京電力など大手電力と契約するしかなかった家庭でも、電気を買う先を選ぶことができる。「電力自由化で大切なことは」という朝日新聞の「社説余摘」欄(2016年1月15日付、高橋万見子・経済社説担当)によると、ガス、石油、通信など100社以上が新規参入の手続きを済ませている。ガスや携帯とセットで契約すると割引になる、という文言も躍っている。

 

 大手紙でも「電力自由化 新プラン乱立 どれがお得?ネットで検討」(東京新聞1月16日付)、「電気料金プラン 比較サイト次々 割引・ポイントを一覧」(朝日新聞1月16日付)といった記事を掲載し始めた。しかし、2013年秋から2年半にわたり東京電力の「原発電気代不払い運動」を続けてきた私にとっては、「どれがお得?」も「割引・ポイント」について、特別に関心を持てない。東電との契約をやめるのは当然としても、いかに原発からの供給電力ではなく、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを中心とした電力会社を選ぶことができるか。つまり、どんな電源から電気を供給する新規電力会社なのか?そのことに眼を向けている。

 

 原発即時全廃を唱えている私の場合、「原発からの電力について、お金を払う必要性ない」と主張。というか、「あまりもばかばかしい」ということで、毎月、「電源開発促進税」110円と「福島原発維持費100円」(と、私が勝手に算定した)の計210円を電気代から差し引き、送電ストップ予告通知が届いたときに210円を改めて支払う、そういった対応をしてきた。実態は「不払い」というより「遅払い」といった対処か。210円を支払わないとしていたことで、最初の送電ストップ予告が来た際、東電の出先機関に出向き、「抗議文」を読み上げている。同じような対応をしていた栃木県内の人たちと「原発電気代不払いネットワーク」も立ち上げていた。その後も原発電気代は払わないということを毎月の振込用紙に書いてきた。そうした面倒なことも、3月いっぱいで終わりになる。

 

 

 「電力の自由化で大切なことは」に戻ると、高橋万見子・経済社説担当も、福島第一原発事故を契機にこう考えるようになったとつづる。「電気を使う側の意思と責任が目に見えて伝わる社会の必要性を考えるようになった。どんな電気を選ぶかで供給側の改革を促す。自由化はそのための道具だ」と。鎌仲監督の「社会を変革する、エネルギーをシフトする、価値がひっくり返る考え方」に比べ、いかにも控えめだ。抽象的で、一歩引いた記事の展開だ。それにしても、高橋万見子記事は、「行間」にだがー、電気会社を選ぶ際、福島第一原発事故の重大さを思い起こして欲しい、といったことを促してはいる。それにしても、「どんな電気を選ぶかで供給側の改革を促す、自由化はそのための道具だ」はー、どうもしっくりこない。

 

 なぜか。大事なポイントである各電力会社の収支構造やそれがもたらす影響度合いなどについて、一言も触れていない、それがあるからだろう。朝日新聞デジタル(2012年5月23日)によると、経産省が全国10電力会社の2010年度まで過去5年間の電力販売による収益を調べたところ、家庭向け電力は販売量の4割しかないのに、利益の7割を占めていることがわかった。東京電力では、家庭向けが利益の91%を占めていた。だから、私たち家庭の多くが東電をやめて、新電力と契約を結べば、当然、東電はそれこそ大打撃をこうむる。

 

 『東京に原発を!』(1981年)などの著者で知られるノンフィクション作家、広瀬隆の最新刊『東京が壊滅する日 フクシマと日本の運命』(2015年7月 ダイヤモンド社)では、こうした電力会社の収支構造に言及したうえで、家庭の6割以上が安全でクリーンな「新電力」との契約変更を望んでいるとする。そうしてこう指摘する。「新電力の多くは、ガス・通信・自動車業界など日本の一流企業でもある。したがって、電力会社は原発に見切りをつけない限り、膨大な数の顧客を新電力に奪われ、ますます経営が悪化し、自分の首を絞めて最後に窒息するだけである」。

そのうえで広瀬らしい広い視点を提供する。「もともとマンハッタン計画で膨大な収益を求めてスタートした原爆開発と、その落とし子の原子力産業であるから、収益シンジケートの地球規模の鎖の輪の一カ所が切れると、そっくり全部が同時に崩壊するのが経済原理だ」と指摘。その最大の鍵を握っているのが、シンジケートにばくだいな金を注いできた日本だという。そこで今回の「電力自由化」である。それについての広瀬の見方と大手紙の論調とのなんという落差であることか。私たちはその指摘から今回の「電力自由化」が問う重大さを知ることになる。

「『日本の電力自由化』がこの国際的なシンジケートの輪を断ち切れば、いかなる国の原子力協定も、原発輸出計画も、原水爆産業(軍需産業)も、いっせいに経済崩壊する可能性がある」。

広瀬隆がこう強調する電力自由化で、各家庭の「台所」から始まる「雪崩現象」が日本で起きれば、未来の世界が射程に入る魅力的な構図も描けるー。それは冒頭に挙げたドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と地球の回転』、その題名とそっくり重なる視点だ。

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