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2017年8月 2日 (水)

いままさに戦後の「確信」の危機   手塚治虫や水木しげるたちの執念  

 

Img_4056 いままさに戦後の「確信」の危機 

手塚治虫や水木しげるたちの執念

 

 手塚治虫「戦争漫画傑作選」、そして手塚治虫「戦争漫画」傑作選Ⅱが続き、手塚治虫「戦争と日本人」のコミックが7月10日に発行され、一気に読み終えました。発行元はいずれも「祥伝社」。読み終えてから気づいたのだが、この解説がなんと、「永続敗戦論」で知られる論客、白井聡(しらい・さとし 政治学者、思想史家)でありました。

彼の「永続敗戦論――戦後日本の核心」は、ウイキペディアによると、第35石橋湛山賞、第12角川財団学芸賞を受賞している。これまでは主にロシア革命の指導者であるレーニンの政治思想をテーマとした研究を手掛け、私も彼の未完のレーニン」の思想を読む』(講談社2007年)、『「物質」の蜂起をめざして――レーニン、「力」の思想』(作品社2010年)を手にしている。最近では『「戦後」の墓碑銘』(金曜日、2015年)も。さらに最近では『日本劣化論』(笠井潔共著、ちくま新書2014年)や『日本戦後史論』(内田樹共著、徳間書店2015年)と、次々と戦後史についての対談集を出している

と、まぁ、最前線で活躍している彼がコミックの、それも手塚作品の解説と書いておいることに最初はびっくり、しかし、その解説を読んで、いやはや「なるほど」と。短い解説だが、さすがの白井聡さん、今の時代をきちんと正面から斬っている、と、思ったのでした。その一部をに抜き出すと、以下のようだが、「静かなクーデター」を起こしている安倍政治に対するきちんとしたスタンスを身につけるには、手塚治虫や水木しげるなどの戦中世代のコミック・漫画をたくさんの人達に読んでもらうことが早道かな、と、思うことしきりです。

(以下は「解説」から)

 ・・・・戦後日本の場合、「内省」は巨匠たちによって支えられ、長きにわたって持続してきた。手塚治虫も水木しげるも、ひたすら暗い。救いのない戦争漫画や実録的軍記物を描き続けた。その執念は、われわれも敗者であるがゆえに、現代戦争の悲惨さを虚心に見つめることができるのであり、それを世界に伝えることに普遍的意義があるとの確信に支えられていたはずだ。そして、いままさに危機にさらされているのは、この確信である・・・・・

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(折々の<状況> 第25号 002)

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