恐竜と青春 SF小説「竜の眠る浜辺」
相変らず展開が豊かー、相変わらずというのは、もともと彼・山田正紀の初期SFである『神狩り』や『弥勒戦争』などで、のけぞったほど。物語が魅力的なのは言うまでもない。ただ、最後の展開は、このテーマにしては、意外と静かというか、行くべきだろうところの世界へ。ある種の青春SFかな。と思っていたら、SF作家の新井素子さんも「青春小説と評し、ネコまで青春している」と書いたとか。
と、「あとがき」で確認していたら、作品が最初に出たのは、なんと1986年11月の「徳間文庫」。今から30年以上も前になる。私が手にしているこの「ハルキ文庫」にしても、1998年11月第一刷り。これも20年近い前・・。書店で買い求めてそのままになっていたが、買い求めた当時の書棚をなんとなく覚えてはいるのです。それにしても、こんなに「積読」になっていたとはー。驚きでもあります。
作品の全体の空気は、「あとがき」で本人・山田正紀が書いています。
こんな言い方です。
「自分でいうのも何だが、私はもともと性格の悪い、悲観的な人間なのだが、この作品を書いたときには、めずらしく人生を肯定する気持ちになっていた。その気持ちがこの作品にあらわれているのではないかと思う。だからこそ愛着があるのだろう」
(折々の状況 2017その4)
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