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2017年12月30日 (土)

「勝手にシェアハウス」、ようこそ!いらっしゃい! ―南相馬市から塙町に「避難」した藤島昌治さんの思いー

 

Photo 「勝手にシェアハウス」、ようこそ!いらっしゃい!

―南相馬市から塙町に「避難」した藤島昌治さんの思いー

 

 「とりあえず、住んでいるところで始めようとー。『勝手にシェアハウス』と呼んでいるんです。一緒に住みたいという被災者がいれば、そりゃ、WELCOMEです」。

 2017年10月21日(土)夕、福島県南相馬市原町区の牛越応急仮設住宅・第三集会所。私たち「原発いらない栃木の会 第4回福島視察」の一行それぞれが耳を傾けた。にこやかに、ときに原発再稼動に怒った、詩人でもある藤島昌治さん(ふじしま・まさはる)(72)。福島第一原発事故で住み慣れた南相馬市小高区から新潟県三条市に避難した後、南相馬市鹿島区の仮設住宅の自治会長を長く務め、行き場をなくした人々の暮らしを「シェアハウス」(復興共生住宅)という形で実現したい、と全国に呼びかけてきた。ふるさとは南相馬市小高区。2016年7月に一部の帰宅困難地域を除いて避難解除となった。今は茨城県が近い福島県塙町の古民家に移り住んでいるという。

 「南相馬市小高地区にシェアハウスを作ろう会」がシェアハウスを実現するための署名を始めたのは2015年初夏。署名ではこう呼びかけた。「震災前のつながりが深く、近隣の助け合いの自治体制は、今の状況からは、期待できないことは明らかです。そんな中でも、美しい街並みや住み慣れた地域に生活することが私たちの安らぎだと感じます。私たちが小高で生活する上で、不安なく生活するために・・・・このたび。署名活動を行うことにしました」。

 私たち「原発いらない栃木の会」は2年前の秋、第3回福島視察を行い、そのとき、藤島さんから「今後起こりうる孤独死・自殺・うつを防ぐためにも。シェアハウスをなんとしても実現したい」と力説したのを聴いています。その懇談会の場も今回の第4回福島視察と同じ牛越仮設住宅の集会所でした。

 藤島さんたちが考えていた、考えているシェアハウスは、一棟の中に個室と広い居間、共用の台所、食堂、風呂、トイレなどがある、共用スペースがあることで住民同士が協力しながら支えあえる、必要なサポートも受け入れやすくなる、というもの。第3回視察で私など「原発いらない栃木の会」の一行は「シェアハウス」実現の思いに対し、大いに共感。私たちの会でもささやかな署名活動を進めました。

 福島視察では、福島第一原発周辺の町村の放射能汚染の状況はどうなっているのか?放射能汚染土を詰め込んだフレコンバックが連なるあの大地はどう変わっているのか?今も人々が帰ることができない「帰宅困難地域」の放射能汚染の実情は?南相馬市小高駅前の商店街は復興に向けてどう変わっているのか?などについて、大いに関心を寄せ、それらについて見聞してきました。

復興住宅を訪ねた際は、ときに「菜園もある雰囲気の良い復興住宅ですね!」と笑顔でうなづき、ときに「そんなにご近所との付き合いが少なくなったのですか?」と、まゆをしかめ。

 それと同時に被災者たち、避難者たち、福島県の詩人、若松丈太郎さんに言わせると「核災難民」の人たちの暮らし・環境はどのように前に進んでいるのか、いないのか?、それについても知りたいことでした。

 ですから、2年前に聴いたときからその行方について関心を寄せていた「シェアハウス」の進展がどうなっているのか?ぜひ聴きたいところでした。藤島さんによると、その点について、シェアハウスを実現させようという署名は各地の協力もあり、1万筆以上を達成。南相馬市議会でもその趣旨を採択した。しかし、現実には「何で復興住宅ではだめなのか?」と言われてしまう。子どもたちは遠くに行ってしまい、年寄りと離れ離れになっている。その高齢者は農業ができない、健康ではない、などなどの状況下、人と人とのコミュニケーションがいかに大切かーそれらの実情について、「仮設住宅の暮らしを知らない、関係先の人たちの理解が得られない」ことで、未だに藤島さんたちが願っていたシェアハウスは実現できていないのだという。

 「シェアハウスは、長い目で、あきらめずにやっていこうと思う」、「時間が経てば、シェアハウスは必ず実現すると思う」、藤島さんはこう言って、シェアハウスの実現に向けて意欲を見せていました。

 藤島さんは仮設住宅の自治会長で知られていますが、一方で詩集『仮設にて 福島はもはや「フクシマ」になった』(遊行社、初版第一刷発行2014年8月12日)でも知られる詩人。この『仮設にて』は英文でも発行されています。「原発いらない栃木の会」定期総会の場でも頒布されてきたので、手にしている方もかなりおられるかと思います。

 その藤島さんは2016年3月11日付初版第一刷の別の詩集『長き不在 フクシマを生きる』(遊行社)も発刊しています。その「あとがき」でこう記しています。

 「福島第一原子力発電所の水素ガス爆発による災害で、避難を与儀なくされたものの、4月には避難解除の時をむかえようとしている。被災者の殆どが、元の生活に戻ることなど適うこともなく、更なる、避難先を求めて彷徨う者など、果てしなき苦難は続いてゆく。とりわけ、置き去りにされる高齢者の先行きが案じられるのです」。

 その詩集『長き不在』に収められた33篇の詩のなかで、その題名もズバリ、「シェアハウス」というのがあります。その詩こそ、「シェアハウス」を現実にしたいという藤島さんの思いが込められているー私はそう感じたのです。

詩 シェアハウス(藤島昌治)

 

親孝行の息子がさ/優しかった娘がさ/可愛がった孫がさ

 

復興住宅さに行けど

 

どこさ行けばいいんだ/なじょすたらいい?/こんな婆(ばばあ)/置き去りにして

 

この先/何さ 掴まって/行けばいいのか/いっそ 死んでしまったほうがいいのかも

 

行き場を失った年寄りの歎き

 

誰が そんなことを赦すか/誰が そんなことをさせてなるものか

 

婆ちゃんも/爺ちゃんも/待ってろ/シェアハウス造ってやる

 

 藤島さんの話しが終わるところで、「今、住んでおり、『勝手にシェアハウス』にしようというその古民家の大きさは?」という問い掛けがありました。藤島さんは「土地は約400坪、8畳、10畳、6畳、6畳、それに離れも」と答えていました。一同は「それは大きい」と感嘆したのです。

 藤島さんの話しの中で特に印象に残ったのは、「原発事故は起こるべくして起こったわけで、今、逃げ道さえ確保できれば再稼動させるとしている、が、そんなばかなことはあり得ない」と、原発再稼動に真っ向反対していることを伝えたこと、それに「あの時65歳だったが、今や72歳。この7年間のロス、何ともったいなかったことか!」と、思わず「3・11以後」について振り返ったときの表情でした。

 さて、今回の原稿を書く段階で、「今、藤島さんのような避難者はどのように

社会的に把握されているのだろうか?」という点だった。参考になる記事として、毎日新聞9月9日付「東日本大震災6年半、避難指示解除半年(その1) 家族のぬくもり、取り戻す」がありました。

 この記事によると、福島第一原発事故で避難指示が出された福島県内11市町村で、事故直後の対象者は、約8万8000人にのぼった。原発のある大熊・双葉両町を除く9市町村で避難指示が順次解除された。だが、放射線の影響や生活環境に不安を抱いたり、避難先に生活基盤が移ったりした人が多い。その結果、今年7月~8月現在、解除区域に帰還や転入した移住者は、新たに生まれた子どもたちを含め、計5951人。住民登録者数(4万9997人)の12%にとどまるという。

 

 その「避難解除」についても、藤島さんは詩集『長き不在』の中の一篇、「みえない霧の中で」で、「二度目の漂流、避難の始まりである」と、しています。

 

詩 みえない霧の中で(藤島昌治)

 

(前略)

原発の爆発による災害は/想像を超える過酷なもので

家屋ばかりでなく/身もこころも/ボロ ボロ に破壊

家族や家庭をも/ズタ ズタ に引き裂いた

宛て処もない移住先を求めて/今 なお

彷徨(さまよい)続けるボクにとって

避難解除は/決して喜べることではなく

二度目の漂流 避難の始まりである

 

(「原発いらない会」理事 富岡洋一郎)

 

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