手続きをすっばして無理やり 最新刊新書『憲法の良識』
「安倍政権による解釈変更は、そもそも手続き一つとってみても、順番が逆さまです。まず『憲法改正していいですか』と、国民に聞いて、『いいですよ』といわれ初めて『では、集団的自衛権の行使を容認していいですか』とあらためて国民に聞くべきもののはずです。ところがその手続きをすっ飛ばして、無理やり解釈変更で集団的自衛権を行使できることにしました」(「憲法の良識」 109頁)
9日は、終日、小雨模様だったので、「晴耕雨読」へ。とくに憲法学者・長谷部恭男さんの最新刊の朝日新書(2018年4月30日第一刷)『憲法の良識 「国」のかたちを壊さない仕組み』を一気に。それが面白いので、「霧降文庫」に積読していた『憲法と平和を問い直す』(ちくま新書 2015年7月5日第12刷)もその流れで、読み終えました。
『憲法の良識』では、第7章「憲法と戦争の意外な関係」のなかの「自己保存の権利」などをキイワードにした法哲学が魅力的な展開だ。このなかで、知られるルソーの「人間不平等起源論」が紹介されているが、これは邦訳だという。もともとの題「戦争法原理」なのだという。「え~、そうなのかー」と。青年時代に手にしているのを思い出したが、これはわけもわからず読んでいた覚えがある。なので、再びルソーに挑んでみることへ。
もっとも大事なキイワードである集団的自衛権についていえば、『憲法と平和を問い直す』の第8章「平和主義と立憲主義」のところに、「さもありなん」という箇所がありました。
「自国の安全が脅かされているとさしたる根拠もないのに言い張る外国の後を犬のようについて行って、とんでもない事態に巻き込まれないように、あらかじめ集団的自衛権を憲法で不定しておくというのは、合理的自己拘束として、充分ありうる選択肢である」(『憲法と平和を問い直す』「穏和な平和主義へ」162頁)
「ドゴール将軍が喝破したように、『国家には同盟者はありえても、友人はありえない』。自国の利害得失の計算を離れて国家間の関係はない。国家間に友情があると考えている人は、国家を擬人化して考えすぎている。それは自国の利益にとってきわめて危険な情緒論である」
(折々の状況 5月9日)
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