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2023年7月

2023年7月27日 (木)

「全共闘」系自治会が生まれる原動力に  同人誌「序説第30号」編集後記

 

「序説」の準同人だった川島洋雄さんが今春、急病死した。今から半世紀前、当時の足利工業大学でマスプロ教育が是正されないまま新しい学科を設けようという動きがあった。それに反対し、数十人の学生たちが校内をデモしながら(開学して数年目の同大だったが、学内の公然デモは初めてだったと思う)、「教授会」に乱入し、「大衆団交」に持ち込んだ際、若き青年教員として私たちを阻もうとしたひとりが川島さんだった。洋雄さんというと、そのときの姿が強く印象に残っている。この時のデモをスタートに「序説」の母体となる「全学活動者会議」が発足し、「全共闘」系自治会が生まれる原動力になった▼川島さんは大学教員の一方、足利の由緒あるお寺「法楽寺」の住職も務めてきた。最初はいわば「対立」する立場にあったが、大島渚監督の助監督の経歴がある実弟の川島和雄さんと私たちの縁などもあり、その後、貧乏学生だった私たちを法楽寺の落葉拾いやお墓掃除のアルバイトに雇ってくれるなどの世話もやいてくれた。高橋一男君の「あとがき」にもあるが、複数の同人は川島さんのところに下宿するなど、それこそ公私にわたっての付き合いがあった▼「序説」が発刊されると、いつも詩人など数人から御礼はがきが事務局に届いているが、そのひとりが川島さんだった。印象に残るのは6年前の「序説第24号」に対する御礼はがき。「7月も下旬に入ると、月遅れの盂蘭盆の準備に取り掛かってるのですが、ここ数年来気力が薄れ、テキパキ出来なくなってきました。歳に加えて、運動不足が原因で左膝を痛めてしまい、歩行が少々不自由になってきたためかも知れません。身体不自由の苦痛なことは、普段健康でいる人にはなかなか実感として分からないだということが、よく分かりました。どうぞ、お身体にご慈愛いただきたく、健康にご留意ください 7月31日 川島洋雄」▼亡くなった洋雄さんに思いをはせたのは、各同人の「序説第30号」の寄稿に洋雄さんのはがきにあったように身体の不調、気力の低下、健康問題、あるいは老い先の不透明さに対するコメントがいつも以上に多かったからだ。「ぼくにとって、圧倒的な過去に比べ未来はないに等しい。長く語れる過去はあるが、未来を語れば一言で終わる」、「最近になって、年を取るという事は、新たな出会いよりもずっと別れる事の方が多くなっており、寂しい限りである」、「もう若かりし頃のようには戻れない現実が体に滲み込んで、絶望の向こうまでも連れて行ってしまっていて、どうにもならないのです。歳老いていく事がこんなにも難しい事なのだなど想像さえしていなかったのです」▼「序説」は1974年創刊。来年の2024年は創刊から半世紀を迎える。当然、同人もいずれも70歳以上の高齢者に。そんな年齢だけに濃淡はあるが、いずれも各同人の実感なのだろう。それにしてもこの「超高齢化社会」にあって、いかに生きていくべきか、いや、いかに死んでいくべきかー。そんな問いを前にかく言う私にしても、その手の哲学本を手にしている。「不安や死への自覚を介して、未来へと先駆しながら、今において覚悟的に生きる本来的実存が示されるとともに、存在論の基礎となるべき時間論が解明される」。解説にこうある『存在と時間』(マルティン・ハイデッガー 「ちくま学芸文庫」版)▼「哲学本を手にしている」と書いたのは、若い頃から「存在と時間」に挑んできたが、ハイデッガーの難解な文章に立ち往生し、いつも途中で投げ出していた。なので、この冬は手始めに「世界一やさしく、かつコンパクトに解説した超入門書」というSF作家・筒井康隆の『誰にもわかるハイデガー』(ベストセラーの2022年河出文庫版)を読んだ(社会学者・大澤真幸の解説が魅力的で印象に残った)。そのうえで本編へ。「必要」に迫られてきた年齢になってきたので、今回は362275609_6311248452337282_2846160125906 読み通せるだろうと思っている(事務局・黒川純)

同人誌「序説第30号」発行へ 1974年の創刊から49年目

同人誌「序説第30号」(創刊から49年目)の宅配便が届く。115頁、8月1日発行(頒価500円 日光霧降高原が事務局)。第一号から半世紀になるので、若者だった同人は今やいずれも70代に〰️。群馬、栃木、茨城、福島の各地で暮らす。29日に4年ぶりにコロナで中断していた懇親会を前橋で開く。乞うご期待(昔の映画の予告編には必ずこの乞うご期待の文字が~)。 362275609_6311248452337282_2846160125906

2023年7月26日 (水)

デカンショのショを手に  講談社現代新書「ショーペンハウアー」

デカンショ、デカンショで半年暮らし、あとの半年~寝て暮らすー、ヨイヨイ~デッカンショ。しばらく経ってからデカルト、カント、ショーペンハウエルを9784065296028jpg 歌った大正教養主義時代の旧制高校時代の歌だと知った。が、「方法序説」のデカルト、「純粋理性批判」のカントはいいとして、ハウエルはそれほど高名だったのか?と。でも、大正から昭和への時代としては軍靴の足音がひたひたと。ならば「三太郎の日記」とともに当時の青年たちがデカンショに魅かれたのもうなづけなくはない(私の場合は旧制松本高校時代の抱腹絶倒の生活をつづった北杜夫の「ドクトルマンボー青春期」だが)。そんな絡みで新刊の「ショーペンハウアー」(ショーペンハウエルではないのだね、講談社現代新書)を手に。富裕な商人出身だが、途中から哲学徒へ。かの「精神現象学」のヘーゲルと同じ時期の大学で哲学を教えていたが、学生はもちろん絶頂期のヘーゲルの講座に。「そうだったのか」というエピソードも知る。新書のオビは「苦しみに満ちた人生を、いかに生きるべきか。欲望を原動力とした現代社会の歪みが、生きづらさに拍車をかけている。苦悩や葛藤から自由になるための『生きるヒント』」。新書とあって内容はハウエルの思想の案内までだが、その案内に導かれて、主著「意志と表象としての世界」ではなく、晩年の「処世訓」を読んでみたいなと。

2023年7月21日 (金)

やはりドイツ・イデオロギーを改めて 「社会思想史上のマルクス」を手に

「日本思想全史」(ちくま新書)を読んでいて、廣松渉の論が気になったので、「社会思想史上のマルクス」(情況出版)を手に。学生時代によく読んでいた月刊「情況」(確か廣松渉がこの雑誌の資金援助していたという)の常連だった城塚登、山之内靖、水田洋などの論客によるマルクスの思想をめぐる討論だった。「懐かしい名前が何人もー」と思っていたら、それもそのはず、元は1972年の季刊「社会思想」に掲載されていた内容。それを1994年に新装出版したものだった。どういうわけか、長く積読だったこれを読むと、1970年代のマルクス論の熱気がいかに高かったかー。今読んでもかなり難しい討議をしている。いずれにしろ「経哲草稿」から「ドイツイデオロギー」、そして「資本論」に至る間のマルクスの思想上の変化と深化について、「フランスにおける内乱」をはさみ、ヘーゲルの「法哲学」などへの批判も含めてどう読み解くか。最終的には「資本論」を中心に展開されていくが、内容が「高度」でなかなかついていけなかった。それにしても若い時に斜め読みしていた討論のキーとなっていた「ドイツイデオロギー」をもういちどきちんと読まないといけないな、と。検索したら「えっ」と。新装出版の「解説」を書いている同世代の元大阪大学教授、木前利明さん(西洋思想史)が亡くなっていたこともわかった。私が事務局を務めている同人誌「序説」(1974年創刊)もそうだが、いやはや「70年安保」から月日がいかに過ぎているか、それも感じさせる一冊でもありましたー。 Img_6228

タイムリーな「エネルギー危機と原発回帰」 再生可能エネルギー状況がとくに読ませる

タイムImg_6215 リーな新刊を一気に読んだ。『徹底解説 エネルギー危機と原発回帰』(NHK出版新書 7月10日発刊)。NHKラジオの解説コーナーでエネルギー問題を担当している水野倫之(のりゆき)さんと山崎叔行(としゆき)さん、それにゲストのご存じ池上彰(あきら)さんの著書とあって今の最前線情報を知ることができた。ただし、「NHK」だけに脱原発でも原発推進でもないという優等生的立場で書いているがー。それでも原発GX法の問題点を的確に指摘する一方、ウクライナ戦争で明らかになった標的のしての原発も素直にその危惧を強調している。どこかの国と関係が悪化し、東日本、西日本の原発がひとつづつ攻撃を受ければ、「国土のほとんどを使えなくなるということになりはしないか」と。プーチンのウクライナ戦争で今や普通の市民が感じているだろう不安感をそのまま伝えてもいる。また核のゴミ捨て場についてのフィンランドやスウェーデンの取り組み状況をわかりやすく紹介。印象的だったのは、再生可能エネルギーの現状と今後について。とくにその潜在力について。地熱はアメリカ、インドネシアに次いで世界第3位の資源量を持っている。波のエネルギーだけでも国内総発電量の3分の1にのぼる。森林資源にも恵まれ、「決して資源小国ではない、見方を変えれば、資源大国とさえ言える。要はどう実用化するかだ」と。秋田県沖で始まった大規模な洋上風力発電は当然、紹介されるが、私も初めて知った先端的な波力発電の興味深い試みも伝える。核燃サイクルとプルトニュームと核開発の三大話も取り上げられているが、奥歯にものがはさまった言い方までしかできないところにやや不満が残るところ。それでも全体的に今の原発政策に批判的なトーンで語られている。「原発回帰」という大転換政策を走ろうとする現状の原発問題を全体的に理解するのは手っ取り早い良書だと思う。

2023年7月 3日 (月)

宇都宮地区労の軌跡 歌を忘れたカナリアたちへ  元宇都宮地区労事務局長・田中一紀さん編・著

「宇都宮地区労Photo_20230703225501   の軌跡 歌を忘れたカナリアたちへ」。さまざまに指導を受けた元宇都宮地区労事務局長・田中一紀さん(宇都宮在住)の「編・著」という303頁の新刊本が寄贈で送られてきた。発行は2023年6月23日、「有限会社アートセンター・サカモト」(宇都宮)から発行、定価2200円。「はじめに 地域労働運動を切り開いた先輩・同志に捧げる」、「敗戦直後の労働運動、労働組合の状況」、「労働者の権利と宇都宮地区労の役割」と続き、さらに「杤木新聞争議」、「下野新聞争議」はもちろん、「全金カコ闘争」、「太陽舎・中央プリント争議」「日清製粉工場閉鎖反対闘争」など、当時の代表的な争議状況がわかる「第一章 争議と地区労」へ。まだ読み始めたばかりだが、大変に貴重な労作であることがわかる。今週はこの一冊をきちんと読むことにしますー。

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