やはりドイツ・イデオロギーを改めて 「社会思想史上のマルクス」を手に
「日本思想全史」(ちくま新書)を読んでいて、廣松渉の論が気になったので、「社会思想史上のマルクス」(情況出版)を手に。学生時代によく読んでいた月刊「情況」(確か廣松渉がこの雑誌の資金援助していたという)の常連だった城塚登、山之内靖、水田洋などの論客によるマルクスの思想をめぐる討論だった。「懐かしい名前が何人もー」と思っていたら、それもそのはず、元は1972年の季刊「社会思想」に掲載されていた内容。それを1994年に新装出版したものだった。どういうわけか、長く積読だったこれを読むと、1970年代のマルクス論の熱気がいかに高かったかー。今読んでもかなり難しい討議をしている。いずれにしろ「経哲草稿」から「ドイツイデオロギー」、そして「資本論」に至る間のマルクスの思想上の変化と深化について、「フランスにおける内乱」をはさみ、ヘーゲルの「法哲学」などへの批判も含めてどう読み解くか。最終的には「資本論」を中心に展開されていくが、内容が「高度」でなかなかついていけなかった。それにしても若い時に斜め読みしていた討論のキーとなっていた「ドイツイデオロギー」をもういちどきちんと読まないといけないな、と。検索したら「えっ」と。新装出版の「解説」を書いている同世代の元大阪大学教授、木前利明さん(西洋思想史)が亡くなっていたこともわかった。私が事務局を務めている同人誌「序説」(1974年創刊)もそうだが、いやはや「70年安保」から月日がいかに過ぎているか、それも感じさせる一冊でもありましたー。 
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