署名「4045筆」添えて日光9月市議会に陳情書 「子どもたちの甲状腺検査事業の継続を求める」
令和5年8月17日
日光市議会議長 田村耕作 様
住 所 日光市所野1541―2546
陳情者 さよなら原発!日光の会
氏 名 代表 富岡洋一郎 ㊞
連絡先 ℡ 090-5351-3440
Eメール qk3y-tmok@asahi-net.or.jp
子どもたちの日光市甲状腺検査事業の継続を求める陳情
陳情事項 子どもたちの日光市甲状腺検査事業を継続してください
1.要 旨
日光市は2013年度から福島第一原発事故で放出された放射性物質の「健康への影響」などから、検査費用6,600円のうち自己負担額3,000円とし、それ以外の3,600円は日光市が補助する子どもたちの甲状腺検査事業を継続してきました。体の発育や基礎代謝、新陳代謝などを促す甲状腺のがんの早期発見・早期治療につながる大事な補助事業です。
ところが、この冬、日光市はHPで、「甲状腺検査事業の開始から令和4年度で10年目を迎え、受検者数が年々減少していること、アンケート回答結果、検査実施に要する事業費見直し等の理由から、令和4年度末をもって当事業(ホールボディカウンター検査を含む)を終了します」と公表しました。
今回、日光市が子どもたちの甲状腺検査事業を全面的に打ち切る判断をしましたが、甲状腺検査を継続し、繰り返して検査を受けることが子どもたちの健康を守る上でいかに大切であるかは明らかであり、日光市の行政判断の誤りです。このため私たちは日光市甲状腺検査事業の継続を求め、広く署名を呼びかけたところ、8月16日までに主旨に賛同する署名4,045筆が寄せられました。この署名簿と共に子どもたちの日光市甲状腺検査事業の継続を求める陳情をいたします。
日光市議会においては、ぜひこの陳情を採択していただきたく、お願いいたします。
2.理 由
日光市は甲状腺検査の「必要性」について、昨夏、検査対象者1万2185人に対しアンケートを行いました。その結果、回答者はわずか1%の130人にとどまりました。ただし、回答者のうち、7割にあたる92人が「継続してほしい」「どちらかと言えば必要と思う」と答えています。理由では「福島県内では甲状腺がんの子どもがたくさん出ている。裁判も起きているので日光でも安心できないと思う」「子どもの将来を守るためにも必要な事業だと私は思う」「放射線被ばくの影響は長期的に観察する必要があります」などと記しています。
しかし、日光市は令和4年度末をもって日光市甲状腺検査事業を終了しますと公表しました。ただし、検査継続を求める私たち「さよなら原発!日光の会」に対する2022年12月23日の日光市「説明会」では、検査打ち切りの最大の理由として「国際がん研究機関の提言2018」を挙げました。この提言では「集団のレベル」の検査では「不利益が利益を上回る」ため、「ばく露レベルに関わらず住民全員を対象にした甲状腺集団スクリーニングを実施することは推奨しない」としていることを強調しました。
日光市はこの国際がん研究機関の提言を金科玉条のように位置付けていますが、この提言を真正面から批判している国内の専門家集団もあり、その一人が岡山大学の津田敏秀大学院教授(環境疫学、医学博士)です。いわゆる「津田論文」(2022年9月)では、「国際がん研究機関は、中高年の調査結果を報告した韓国からの論文を取り上げ、それがあたかも小児期や思春期における影響の証拠であるかのように提示した」ことや、「韓国の甲状腺がん症例が福島の症例よりも小さながんの割合を多く含んでいることに触れていない」ことなどを列記。結局、国際がん研究機関は、小児期、思春期の甲状腺がんが超音波検査で頻雑に過剰診断が生じることを証明できなかった。しかし、その要旨で福島のスクリーニングプログラムに関する勧告ではない、と付け加えているといいます。
この津田論文では「国際がん研究機関による不可解な勧告の背景には、次のことを考えずに理解できない」と述べ、こう指摘しています。「国際がん研究機関の技術報告書の目的は、福島における甲状腺がんの驚くべき発生率の原因が原発事故であるとすることに疑問を投げかけ、いかなる結論にも達することはほど遠いことを示すことであったのであろう」と。このように「不可解な勧告」と指摘される国際がん研究機関の「提言2018」ではありますが、一方で、この「提言」では、「特記」として、「甲状腺がんについて不安を持つ低リスクの個人が検査について、潜在的な利益、不利益の詳細な説明を受けた上で検査を希望すれば、甲状腺検査の機会を与えられるべきである」とも提起しています。しかし、日光市ではこの「検査の機会を与えられるべきである」というくだりについては、私たちに対する「説明会」でも日光市HPでも何ら触れておりません。
私たちが伝えたいのは、甲状腺がんの手術を受けた20歳の男性が「福島県民健康調査でがんを見つけていただいて、手術につないでいただいて非常に感謝している」(NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」から)と、甲状腺検査の継続を内外に強く訴えていることです。
小児甲状腺がんは100万人に1人か2人とされてきたのは知られるようになりました。しかし、福島第一原発事故後に福島県で行われている県民健康調査の2023年7月20日の検討委員会などで、事故当時、福島県に居住していた18歳以下の子どもの甲状腺がんは、358人になったことが明らかにされています。
以上の状況も踏まえ、私たちが日光市の子どもたちの甲状腺検査の継続が必要であることをさらに伝えたいのは、以下の事実があるからです。
➀日光市の甲状腺検査の受診者は確かに年々、減少していますが、2021年度は303人が受診し、その中で経年の受検者は236人、新規の受検者は67人もおりました。
②福島県の甲状腺検査の結果では前回の検査で「問題ない」とされた子どもたちのうち次回の検査で甲状腺がんと診断されたケースが多数見つかっています。
「3・11子ども子甲状せんがん裁判」の原告の中には4回目まで問題ありませんでしたが、5回目の検査で甲状腺がんの診断をされた若者もおります。
③甲状腺がんは発見が遅れれば肺などへの遠隔転移や重症化が増える危険もあります。甲状腺検査の継続はがんの早期発見、早期治療に役立っています。
④1986年のチェルノブイリ原発事故によるベラルーシの小児甲状腺がんは、原発事故から10年でピークに達しています。15歳から17歳の場合は、原発事故から17年目がピークでした。
⑤2021年度の受検者7人だった50万都市の千葉県松戸市は「何年検査を続けるのか」という議会の質問に「不安がある間は実施しなくてはならない。5年、10年で止める事業ではない」と答えています。
こうした事実関係からも、私たちは甲状腺検査を希望する子どもたちに対して、日光市が検査を継続していくことが必要だと考えています。日光市議会においては、以上の各点にご理解いただき、この陳情を採択していただくよう重ねてお願いいたします。
添付資料 計8点
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