検閲からすり抜けるための巧妙な手法で書いた小説 太平洋戦争下の太宰治の短編「12月8日」と「散華」
この
一年積ん読だった高橋源一郎の「ぼくらの戦争なんだぜ」(朝日新書)を読み始める。気になった第五章「『戦争小説家』太宰治」を手始めに。ここで太宰治がいかに軍国主義の検閲をすり抜けようとしたのか、そのために編み出した小説の巧妙な手法について解き明かす。題材は戦時下に書かれた「12月8日」と「散華」(そんな直接的な題材の短編を太宰治が書いていたとはー。私も読んでみよう)。実際は反戦思想の持ち主である太宰治がいかにその文体や構成からそれを知らぬ顔をしながら、シグナルのように、〈戦争なんてとんでもないことだ〉と、伝えようとしていたかー。分かりやすく解説している。原文の女生徒の当時の手紙の内容を時流に合わせて換骨奪胎させていることで知られる太宰の人気作品「女生徒」。これらで戦争に迎合した軟弱な作家と見られがちな太宰治だが、どうしてどうしてー。ウクライナ戦争を背景に高橋源一郎の読みの深い分析による呼びかけに「確かになるほど」と。
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