歪んだ論理で判断された陳情不採択に全面的に異議を唱える声明 「子どもたちの日光市甲状腺検査事業の継続を求める陳情」で「さよなら原発!日光の会」
「歪んだ論理で判断された陳情不採択に全面的に異議を唱える声明」 市民団体「さよなら原発!日光の会」は、日光9月市議会で賛同署名4045筆を添えた「子どもたちの日光市甲状腺検査事業の継続を求める陳情」が、「賛成少数」で不採択になったことに対して全面的に異議を唱える「声明」を公表しました。SNSなどを通じてもたくさんの方に知らせたいと。とくに賛同署名に協力していただいたたくさんのみなさんに伝えたいと思います。「日光の会」は、残念な結果を受けながらも、甲状腺検査を希望する市民に寄り添うための次の一手に向けてその対応策に乗り出すことを決めていることも、伝えたいと思います。
「子どもたちの日光市甲状腺検査事業の存続を求める陳情」を日光市議会は不採択
歪んだ論理で判断された陳情不採択に全面的に異議を唱える声明
さよなら原発!日光の会 2023年10月6日(金)
私たち市民団体「さよなら原発!日光の会」が賛同署名4045筆を添えて採択を要請していた「子どもたちの日光市甲状腺検査事業の継続を求める陳情」は9月27日の日光9月市議会本会議の採決の結果、「賛成少数」で不採択となりました(議長を除く23名の議員のうち、陳情賛成は、福田悦子さん、斎藤久幸さん、三好國章さんの3名)。陳情を審査した民生教育常任委員会(委員8名)の委員長報告で示された不採択理由の主な点は①市民の不安の解消を図るという所期の目的は達成された②再開することで、心理的不安を再度誘発することになる③甲状腺がんと放射線被ばくの間に関連は認められない④甲状腺検査を受けることによるデメリットがある⑤集団受検は国際的にも推奨されておらず、過剰診断を招く恐れもあるーという意見です。
しかし、日光市が強調し、委員長報告でも挙げられた「市民の不安の解消を図る目的は達成された」については、2022年度でも受検者が222人を数え、そのうち初めての受検者が49人もいたという事実関係をひとつとっても誤った判断であるのは明らかです。「心理的不安を再度誘発することになる」については「何をか言わんや」です。「うちの子どもたちが甲状腺検査を受けていることで安心することができていました」という子育て中のママの声はあたりまえに聞くことができます。
「放射線被ばくの間の関連は認められない」という言い方をしていますが、東京地裁で進行中の「3・11子ども甲状腺がん裁判」は放射線被ばくの影響を受けたことを今まさに明らかにしようとしているところです。チェルノブイリ原発事故が原因であると国際的に認定されている小児甲状腺がんのことを考えれば、判断が定まっていない因果関係について、こうした引用をすることがいかに軽率であるかは明らかです。
さらに甲状腺検査の「デメリット論」にしろ、「過剰診断論」にしても、福島県立医科大学の鈴木眞一主任教授は自ら手掛けた数多くの甲状腺がん手術例から講演で「これまで治療した症例に過剰診断がないとは言い切れないが、極めて限定的であり、甲状腺検査が有害であるとは言えない」と明言しています。
「集団受検は国際的に推奨されておらずー」という見方は、「国際がん研究機関の提言2018」の記載を受けた言い分です。この「勧告」は、日光市が以前から検査事業打ち切りの最大の根拠としてきた点です。しかし、この部分は陳情でも強調していますが、勧告の元となる国際的なデータ分析に何カ所もの欠陥があるという批判のうえで、「国際がん研究機関の不可解な勧告」と、岡山大学大学院の津田敏秀教授(環境疫学、医学博士)が大いに疑問を投げかけています。
そんな「提言」について、百歩譲ったとしても、この「国際がん研究機関2018」では、「特記」として、甲状腺検査について、大事な点を強調しています。「甲状腺がんについて不安を抱く低リスクの個人が、検査の潜在的な利益と不利益について詳細な説明を受けた上で、検査を希望するならば、甲状腺検査の機会を与えられるべきである」と。このことも念頭に陳情では「甲状腺検査を希望する子どもたちに対して、日光市が甲状腺検査を継続していくことが必要だと考えています」と結んでいます。しかし、陳情不採択判断ではこんな点も見過ごしにされています。
加えて、①日光市が10年間、実施してきた甲状腺検査で「要精密検査」と判定されたのは、113人ですが、そのうち二次検査の結果、63人は「経過観察」と診断されています。その先の結果は不明ですが、この数字はあくまでも「氷山の一角」です②繰り返し受検することが甲状腺がんの早期発見・早期治療・重症化予防になります③チェルノブイリ原発事故で小児甲状腺がんは事故から10年がピーク、15歳から17歳は事故から17年がピークというデータが示されています④千葉県松戸市は市議会で「市民の不安がある間は、5年、10年で止める甲状腺検査事業ではない」と答弁しています。
こうした日光市の甲状腺検査結果、チェルノブイリ原発事故の教訓、千葉県の自治体の取り組みなどは、今回の陳情の理由や民生教育委員会の審査の中で示されてきました。とくに福田悦子議員は「市民の不安は払拭されていない。10年で検査を終了するのは納得できない。陳情に大賛成です」と強調し、斎藤久幸議員は「希望者だけでも検査を受けさせていくべきではないか。不安を払拭するのが、日光市の役目だと考える」と指摘しました。しかし、これらの結果や教訓、発言などはいずれも今回の日光市議会としてまともに取り上げられませんでした。
つまり、市議会が不採択をした主な理由はことごとく、事実誤認であったり、何をか言わんやであったり、早まった考えであったり、一方的な見方であったり、大事な提起にきちんと向き合ったりしていなかったりしていることばかりです。さらに子どもたちの健康問題にとって大事な情報や考え方について、耳を傾けておりません。要するに、今回の日光市議会の陳情不採択は事実関係にきちんと眼を向けず、偏った歪んだ論理から判断されたものと言わざるを得ません。この残念な結果について、私たちはまったく納得できません。
さらに言えば、私たちがあえて多くの賛同署名を添えて日光市議会に陳情したのは、ひとえに日光市が福島第一原発事故を受けて、2013年からスタートさせた「子どもたちの日光市甲状腺検査事業」という貴重な事業を10年間が「区切り」だとして、打ち切ったためにほかなりません。陳情では「甲状腺検査を継続し、繰り返して検査を受けることが子どもたちの健康を守る上でいかに大切であるかは明らかであり、日光市の行政判断の誤りです」と強調しました。このまっとうな判断は今もまったく正しいと考えています。
このため、私たちは市民にとって大切な甲状腺検査を打ち切った日光市や今回の日光市議会の判断を越えて、今回の陳情でも強調していたように、今後も甲状腺検査を希望する日光市民に寄り添うための方策を立てていく考えでいます。そのことを強調し、日光市の甲状腺検査事業打ち切り政策や日光9月市議会の陳情不採択判断に全面的に異議を唱える「声明」として内外に明らかにします。

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