「トロツキストの目に映る共産党政権の姿とは」 朝日新聞のコラムで興味が沸いたので「陳独秀」を注文ー。
孫文や毛沢東は承知していても、中国共産党創立時の指導者、陳独秀について知っているのは、「浅学非才」にして名前ぐらい。その陳独秀らの中国のトロッキー派から視た現代中国の刺激的なコラムがきょうの朝日新聞のコラムに。このコラムを読んだことで、がぜん興味を覚えたので、「陳独秀」(山川出版社、2015年発刊)を「ほんやタウン」経由で注文した。その本の紹介文も含めてアップしたい。

中国は社会主義ではない トロツキストの目に映る共産党政権の姿とは
論説委員・村上太輝夫=国際社説担当
中国にかつてトロツキストがいた。レーニンとともにロシア革命を主導したトロツキーの考えを引き継ぐ人々である。1924年のレーニン死去後、スターリンによって異端へ追いやられたトロツキーは、中国での革命戦略について独自の分析と展望を持っていた。それに共鳴した者が中国側にいた。共産党創設時の指導者、陳独秀らだ。
党を除名された陳らは新党結成と分裂を繰り返す。42年に陳は死去。彭述之、王凡西ら主なメンバーは49年の新中国成立前後に香港などへ移った。
トロツキストは戦後日本では過激派の代名詞となったが、本来は、労働者を主体とした民主主義を重視しつつ社会主義への変革を目指す考えを持ち、必ずしも過激で暴力的、というわけではない。
その流れをくむ人物と東京で再会した。香港を拠点に中国の労働問題を研究してきた區龍宇(アウロンユ)さん(66)だ。
社会主義を掲げる中国の現体制の実態は共産党・国家が差配する資本主義であり、全体主義化して社会の隅々まで管理している。労働者をどう組織して対抗するかは中国本土、また香港でも非常に難しい課題だ――。東大と明大での講演で區さんはこんな見方を示した。區さん自身、香港にいられなくなり2年前からロンドンに住んでいる。
社会主義を目指す、いわば左側からの中国批判には特有の切れ味がある。その点について言えば中国にも90年代以降、「新左派」の人々が現れた。ところが彼らはリベラル派の学者をもっぱら攻撃し、共産党政権には刃を向けない。弾圧を避けるための生存戦略なのかもしれないが、知識人の姿勢としては不誠実のそしりを免れないだろう。
中国を離れれば発言の自由は確保できるにしても、影響力が落ちることは避けがたい。ただ區さんによれば、かつて毛沢東が引き起こした文化大革命について実態を知らぬまま支持する人々が各国にいたころ、いち早く批判の声を上げたのが海外の中国系トロツキストだった。
「中国文化と欧米の知識。両方に通じているからこそ見えるものがある」。それは私だと言わんばかり。區さんは予言めいた言葉も残して英国に戻った。「一切を統治することができる権力は、自己を統治する力を失う」(論説委員・村上太輝夫=国際社説担当)
陳独秀は文字通り反骨の人である。反清革命の志士として活動を開始し、日本留学を経て『新青年』を創刊、五四期の「総司令」となって思想・文化を先導した。ついで中国共産党を創建するも、蒋介石に敗北を喫するや総書記を退き、トロツキー派に転じて中共と対立した。そのため新中国では否定的人物とされてきたが、『新青年』から百年、今、陳独秀の名誉回復が進む。本書では魯迅、胡適らの盟友にして毛沢東の師たる文人・革命家、陳独秀のありのままの姿に迫りたい。
陳独秀とは誰か
1 辛亥革命期までの陳独秀
2 新文化運動期の陳独秀
3 中共の建党とその指導者時代
4 中国トロツキー派指導者時代と晩年
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