巨大な壊れた観覧車で装飾されている警察署 「理不尽なSF」の世界に誘う諸星大二郎
大ファンである「諸星大二郎」の世界だが、どういうわけか?、このところさっぱり読んでいない。彼の世界にひたることはある種の「余裕」があることだー、そう思っているので、「これはややいかんね」と。で、大二郎さんの傑作短編「遠い国から」を振り返ることにー。
「食事の時間」とか「夢みる機械」「地獄の戦士」など8篇から成る短編集だが、何度も振り返ってしまうのが、「遠い国から」。
この宇宙の果ての国では、壊れた人形、穴のあいた水差しなど、街角はガラクタに満ちている。なにしろ、警察署の正面は巨大な壊れた観覧車で装飾されているのだ。そこを訪れた旅人から見たそうした土地の風景が描かれる。「この国では実用的な物や実際的な生活をする人間は軽蔑される」。わずか18頁。だが、印象は強烈だ。
若い時にも見ているが、今、読んでも印象はさほど変わらない。この手の「理不尽なSF」にかけては、諸星大二郎のほかに知らない。いずれも今から32年以上前の作品なのだった(「あとがき」で初めて知ることに)。連合赤軍事件なども背景にあったという「猫パニック」などもあり、当時の世相もすべり込ませている。
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