マルクスもフロイトもチョムスキーも 「構造主義者とは誰か」という問いに
読まなければと思いつつ、積読だった上野千鶴子の「構造主義の冒険」(勁草書房)をようやく読んだ。1985年初版のいまや「古典」の本かもしれない。「セクシィ・ギャルの大研究」や「おひとりさま」シリーズで知られるあの上野千鶴子さんが、若き頃はレヴィ=ストロースに代表される構造主義を徹底して読み込んでいたことはこの本で初めて知ったのだった。
「構造主義入門」、「異人・まれびと・外来王」、「構造主義の認識論ーレヴィ=ストロースの場合」、「発生的構造主義に向けて」など8論文から成る。「思想」や「現代思想」掲載のものや日本社会学会の「社会学評論」掲載のものなどだが、基本的にかなり硬い評論であるのは否めない。
ただ、「発生的構造主義に向けて」は、すんなりと興味を持って読んだ。構造主義の第二世代に触れたところ。「構造主義者とは誰か」という段落で、第二世代の「ド・ジョルジュ」「グラックスマン」、「ガードナー」が挙げている「構造主義者」たちだ。
それによると、構造主義者とは、マルクス、フロイト、ソシュール、ヤコブソン、ストロース、バルト、アルチュセール、フーコー、ラカン、ピアジュ、チョムスキーを挙げているという。マルクスもそうなのかと思うと同時に、いわゆる構造主義者と言われるとは思っていなかった思想家も。これらは濃淡はあるが、いずれも若い頃から、私が読んだり、触れたり、積読している人たちばかりだ。それで「そうか!、期せずして、構造主義の主流派に親しんできたのかー」と、思ったことだった。
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