ドイツの脱原発はチェルノブイリから25年だった 加藤典洋「ふたつの講演ー戦後思想の射程についてー」
それこそ一気読みの評論家・加藤典洋(のりひろ)の『ふたつの講演 戦後思想の射程について』(岩波書店)。初版は2013年1月。長く積ん読だったが、気になって手に。テーマは2011年311の福島第一原発事故を中心に。『危険社会ー新しい近代への道』(ウルリヒ・ベック)と『現代社会の理論ー消費化社会の現在と未来』(見田宗介 岩波新書)をヒントに戦後以後、冷戦以後、9・11以後、3・11以後の現代思想が問われている課題を展開する。鶴見俊輔、柄谷行人、吉本隆明、フランシスフクヤマなどの著作から『敗戦後論』で知られる自身の足場を丁寧に明かす(私は加藤の『言語表現法講義』が好きだがー)。
なかでも言われてみれば、確かにそういう射程を持った考え方をしてみる必要があるなと。そのフレーズを簡略化した文意が以下だ。「ドイツは1986年のチェルノブイリ事故から14年後、2000年に脱原発を決め、25年後、福島第一の再度の原発事故を経て、2011年にようやく脱原発の実行へと踏み出します。日本がドイツと同じ歩みを行うとして、その年数を仮に当てはめれば、私たちは、2025年に脱原発へと進み、2036年に全面的な脱原発、あるいは、次の断段階への第一歩を踏み出す、と、いうことになるでしょう。いまやるべきことが、こうした25年を見据えた、大いなる覚悟と、長い射程を持った問題意識であることが、わかると思います」ー
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