独裁政権が危機・崩壊を迎えようとするとき。。。。 スラヴォイ・ジジェク「事件ー哲学とは何かー」から
きょうは一日中、小雨模様だった。それなら「晴耕雨読」で、もう一度読みたかったスラヴォイ・ジジェクの「事件ー哲学とは何かー」を。確か社会学者・大澤真幸さんが推薦していたので、買い求めた覚えがある。ドイツ社会民主党を二分したことで知られる大激論である「ベルンシュタイン論争」ー。そこでの革命家・ローザ・ルクセンブルクの同感できる主張を同人誌「序説」に以前、書いたことがある。この本では、このベルンシュタイン論争とは別に独裁政権が危機・崩壊を迎えようとするときの場面の記述が印象的だった。映画にもなりそうな場面状況だからかもしれない。改めてこの部分を読み返すと、「なるほどねー」と。支持率が危機的な状況にある岸田政権や人気が急降下している小池都知事の行き先を思わせるからだ。
以下にその「事件」からその箇所(158ページ)を抜き出してみる。あなたも「なるほどー」となるかもしれない。
独裁政権がその最後の危機・崩壊を迎えようとするとき、たいていは次のような二つの段階を経る。実際の放下に先立って、不思議な分裂が起きる。突然、人々はゲームが終わったことに気づく。彼らはもう恐れない。政権がその合法性を失っただけでなく、その権力行使そのものが狼狽した無能な反応に見えてくる。1979年のイラン革命の古典的な解説であるあ『シャーの中のシャー』でリュザルト・カプチンスキーは、この革命が起きた正確な瞬間を突き止めている。テヘランのある交差点で、ひとりでデモンストレーションしていた男が、警官に立ち退けと怒鳴られたにもかかわらず、動こうとしなかったので、警官は黙って引き下がった。この話はほんの1、2時間のうちにテヘラン全市に伝わり、その後数週間にわたって市街戦が続いたものの、すでに決着がついたことを誰もが知っていたー。
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