改めて泉のように湧き出る歴史知識に驚き 司馬遼太郎『十六の話』(中公文庫)
改めて泉のように湧き出す歴史知識に驚きをー。司馬遼太郎の『十六の話』(中公文庫)。私が手にしたのは、2023年5月の第15刷。初版は1997年1月だから、文庫化からかれこれ四半世紀少し。たまたま書店で立ち読みし、パラパラとめくっただけでも、「これはなかなか読ませるなー」とすぐに買い求めた一冊だ。
司馬作品はたていの人が大河ドラマになっている「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」とか「菜の花の沖」、あるいは「空海の風景」などを読んでいるだろう。これに「幕末」や「花神」、「豊臣家の人々」や「最後の将軍」なども。それら戦国時代、戊辰戦争、日露戦争ものについては、だいたいが私も興味深く親しんできたつもりだ。
だが、講演、評論ものはそれほど親しんでいない。「歴史から学んだ人間の生き方のことども」ーというこの「十六の話」、けっこう教えられる歴史知識も多く、おおいに刺激を受けさせてもらった。いわゆる司馬史観は「卒業」のつもりでいたが、いやいや、どうしてどうして。この文庫本に触発されて、ずっと積読だった『司馬遼太郎全講演』(全5巻だったか?)を、書棚から引っ張りだしている。今夏は思わず司馬良太郎再発見の季節になるかもしれないー。
二十一世紀に生きる人びとへの思いをこめて伝える、「歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことども」。山片蟠桃や緒方洪庵の美しい生涯、井筒俊彦氏・開高健氏の思想と文学、「華厳をめぐる話」など十六の文集。新たに井筒俊彦氏との対談「二十世紀末の闇と光」を収録。
文学から見た日本歴史
開高健への弔辞
アラベスク―井筒俊彦氏を悼む
“古代史”と身辺雑話
華厳をめぐる話
叡山美術の展開―不動明王にふれつつ
山片蟠桃のこと
幕末における近代思想
ある情熱
咸臨丸誕生の地〔ほか〕
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