核兵器は人類すべてに関わる「危機」という共通認識が オッペンハイマーがロスアラモス所長辞任スピーチで
核時代の新しい対応に関して、「まず第一に国際法の体系を変えなけねばならない」と言う人がいるが、私はそうは思わない。「いや必要なのは友好的な感情だけだ」という意見にも、賛成しかねる。私は、第一に核兵器は人類すべてに関わる「危機」なのだという共通の認識が必要だと考える。ちょうどナチズムが連合国全体にとっての「問題」と見なされたように、核兵器も人類全体の「問題」なのである。
中公新書「オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか」(中沢志保)ー。初版は1995年8月25日、私が買ったばかりのこの新書は、今年の2024年5月10日の再版。30年前の本が再び陽があてられたということだが、大評判の映画「オッペンハイマー」の公開と合わせた動きだろうかー。
最大3000人もが仕事をしていたというロスアラモス研究所の初代所長。原爆開発の総責任者を務めた科学者だが、語学にも堪能だったという。ハイスクール時代にギリシャ語をマスターし、プラトンを読んでいたこと、東洋の哲学書を読むためにサンスクリット語の習得を楽しんでいたこと、ダンテを原文で読むためにイタリア語を習っていたこと、オランダ語はやさしいよと言っていたことなど(いやはや驚くべき才能だなと)、水爆開発には確かに確固として反対していたこと、確か35もの公的機関の役職に就いたが、すべての公職から解かれてしまうこと、それは水爆開発反対という姿勢が、水爆開発推進派から危険思想とされ、「レッドパージ」に遭う結果に。だが、人生終盤に暗殺される前のケネディ大統領の指名を受け、ジョンソン大統領のもとで名誉回復がなされたことなどなどー。
新書にしては読みどころがいろいろあり、一気に読み進めた。最も印象的だったの1945年11月2日、ロスアラモス研究所長辞任のときのスピーチだ。同書によると、500名を超える科学者が集まった大きな映画館でオッペンハイマーが長いスピーチをした。この新書ではその要約が5頁にわたって紹介されている。冒頭にあげたフレーズは、その要約の中でも私がとくに関心を寄せたところだ。ヒロシマ、ナガサキの原爆投下から間もない1945年の時点で、「原爆の父」が、核兵器が内包する危険を人類の立場から力説している点だー。
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