印象深い三四郎を論じた「漱石の悲しみ」 18の講演を編んだ『司馬遼太郎 全講演 4』
いよいよ「司馬遼太郎 全講演4 1988ー1991」(朝日文庫)を手に 。初版は2003年、手にしているのは2011年第5版。411ページあるが、講演とあってすらすらと。「ポンペ先生と弟子たち」、「義務について」、「秦氏の土木技術」、「新島襄とザヴィエル」など18の講演がある。中でも「漱石の悲しみ」が特に印象深い。その一節ー。「漱石の本領はやはり、晩年の作とか、『三四郎』でしょう。明晰な文体で書かれ、しかも退屈しない。『三四郎』は非常に高度な文学であるという意味で申し上げたのではありません。しかし、『三四郎』というのは、いま読んでもおもしろうございますー」。
「三四郎」でよく知られる会話も。熊本から東京に行く列車の中で、「日本はどうなるんですか」と三四郎が聞くと、広田先生(第一高校教授)は「滅びるね」と言う。その下りもあるが、「そうか」と思ったのは司馬の「三四郎」評価。「三四郎」について、「よくこの時代にこういう明るくて、しかも意味がよくわかる、そして人間の何事かまで迫る文章を書けたと思います」と。確か若いときに「三四郎」は斜め読みしているが、「人間の何事かまで迫る文章」だと思って読んでいるわけではない。それもあり、この講演に促されるように、今でも手軽に手にできる「三四郎」を再び読みたいなと。
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