勝手にふるいにかけられるのは、まっぴらだ。 結語がいい9月2日の「天声人語」
勝手にふるいにかけられのは、まっぴらだ。この結語が光る本日、9月2日(火)の「天声人語」」(朝日新聞)ー。関東大震災と朝鮮人、そして先の参院選について。矛先はちょっと異質な存在へ、その危うさに他対する警告がいい。(以下は本日9月2日の天声人語の転記です)
沖縄出身の歴史家、比嘉春潮(ひがしゅんちょう)氏はその夜、寝入りばなを自警団にたたき起こされた。1923年、関東大震災の数日後の東京である。「朝鮮人だろう」。いいや。「ことばが少しちがうぞ」。問答を繰り返すうちに、腰に刀をさした男が怒鳴った。「面倒くさい。やっちまえ」▼逃れた様子も含めて『沖縄の歳月』で振り返っている。比嘉氏は、まだしも幸運だった。震災で広がった流言を信じた人々は、多くの朝鮮人や中国人に加えて日本人も殺傷した。千葉では秋田などの地方出身者が、東京ではろう者が殺されている。その数は89人と当時の司法省はまとめている▼言葉があやしい、態度がおかしいと線引きし、うむを言わせない。矛を向けた先はちょっと異質とされた存在であり、その典型が当時は朝鮮人であったのだろう。「不安」と「正義感」に駆られた群衆の恐ろしさである。では、いまはどうか▼先の参院選では、外国人を排斥する言葉がSNSで飛び交った。根拠のない情報が真実かのように伝播(でんぱ)された。100年前と同じように、そうしたことがまかりとおる社会なら、ことはそれでとどまるまい▼参院選の最終日。参政党の神谷宗幣代表は、子供が誇りをもてるような国にしたいと演説し、こう続けた。「それに反対する人は日本人だったらいないはずだ。嫌がるのは、日本を潰したい人たちですよ」▼どんな国を誇らしいと思うのか。誇りに思わねばいけないのか。勝手にふるいにかけられるのは、まっぴらだ。
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