資本主義とは内在的に「過剰・飽満・過多」を有するシステムなのです
いやはや、最近になく、魅力的で確かな視点を提示している新書だ。新聞でも話題になっていたのに加え、「ともだち」のWさんから勧められたことで、一気に。読書灯でも読んだのは久しぶり。浜矩子さんの「新・国富論」などもなかなかだが、今一歩で、肩すかしをくってしまう。
それに比べ、この新書はさらに論旨が鮮明で、経済の数値や物価の歴史、西欧の盛衰もしっかり書き込んである。
ほんとに面白いので、TWITTERで10回にわたって、ツィートしたのです(それほど反応はないが)。結論は「魅力的な視点がいっぱい」その⑩だがー。結局は、私たちなどがめざす「懐かしい未来」の発想と同じだった~。と、いうことがわかったのです。
グローバリゼーションについての「中心」と「周辺」、サプライム・ローンと非正規労働者、9・11と3・11福島原発事故、西欧の終焉、ルターの革命とマルクスとケインズ、アブラハムのノアの方船が元祖だという「蒐集」という資本主義の宿命、「海の帝国」と「陸の帝国」の興亡。各章のそこここにさまざまに展開・刺激される指摘がいくつも。
ということで、きょうの午後、twitterでつぶやいたことを以下に(①~⑩の順序は逆ですがー、それぞれ私が気に入ったフレーズです)。
新書にしては、内容が盛りだくさんの本です。
国家戦略室審議官をやっていたというから、「どうせー、同じような話が~」と思って、敬遠していたのですがー。いやいやどうして、ぐっと読ませます。というか、考えさせられますー。こんな論点の人はいるのだろうが、ここまできちっと小気味よく、説得力がある文章はなかなかおめにかかれない。
(以下はTWITTERに送った文章です)
魅力的な視点がいっぱい⑩「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)から(完)そのためには(定常状態を実現させるためには)「より速く、より遠くへ、より合理的に」という近代資本主義を駆動させてきた理念もまだ逆回転させ、「よりゆっくり、より近くへ、より曖昧に」と転じなければなりません
魅力的な視点がいっぱい⑨「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)からー
もはや地球上に「周辺」はなく、無理やり「周辺」を求めれば、中産階級を没落させ、民主主義の土壌を腐敗させることにしかならない資本主義は、静かに終末期に入ってもらうべきでしょう
魅力的な視点がいっぱい⑧「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
リスクの高い新技術によって低価格の資源を生み出そうとした原子力発電も、3・11で、福島の人々の未来を奪っただけでなく、数万年後の未来まで放射能という災厄を残してしまいました
魅力的な視点がいっぱい⑦「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
利子は、神に帰属していた「時間」を人間が所有することを意味していました。その結果、たどり着くゼロ金利というのは、先進国12億人が神になることを意味します。「タイム・イズ・マネー」の時代が終焉を迎えるということです
魅力的な視点がいっぱい⑥「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
なぜならバブルとは、資本主義の限界と矛盾とを覆い隠すために、引き起こされるものだからです
魅力的な視点がいっぱい⑤「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)ー
『火山に恋して』でこのことを象徴的に描写しています。「偉大なコレクションとは膨大ということであって、完成しているということではない(中略)蒐集家が必要とするのはまさしく過剰、飽満、過多なのだ。
魅力的な視点がいっぱい④「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
資本主義とは内在的に「過剰・飽満・過多」を有するシステムなのです。スーザン・ソンタグが『火山に恋して』でこのことを象徴的に描写しています。「偉大なコレクションとは膨大ということであって
魅力的な視点がいっぱい③「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)
巨大バブルの後始末は・・・「冨者と銀行には国家社会主義で臨むが、中間層と貧者には新自由主義で臨む」(ウルリッヒ・ベック『ユーロ消滅?』)ことになっていて、ダブル・スタンダードがまかり通っているのです
魅力的な視点がいっぱい②「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫)から
EUで言えば、ギリシャやキプロスなのです。21世紀の新興国の台頭とアメリカのサプライム・ローン問題、ギリシャ危機、日本の非正規社員化問題はコインの裏と表なのです。
魅力的な視点がいっぱい①「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫・集英社新書)から
資本主義は「周辺」の存在が不可欠なのですから、途上国が成長し、新興国に転じれば、新たな「周辺」をつくる必要があります。それがアメリカでいえば、サプライム層であり、日本で言えば、非正規社員でありー・・・
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